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投稿日: 更新日: 弁護士 宮地 政和

破産手続開始決定(旧破産宣告)とは?破産・免責の条件、注意点も解説

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自己破産について調べていると、“破産宣告”という言葉を目にすることがあるかと思います。2005年に破産法が改正されたことにより、“破産宣告”という呼び方は廃止され、現在は、“破産手続開始決定”と呼ばれるようになりました。

個人の方が破産を検討する場合、借金返済義務を免除してもらい、生活を立て直すことが主な目的となるため、破産手続開始の条件だけではなく、免責を得るための条件や破産申立て後の禁止事項などについてしっかり理解しておくことが大切です。

今回は、破産を検討されている個人の方に向けて、破産手続開始決定(旧破産宣告)の概要と条件、借金返済義務を免除する免責許可の概要と条件、破産手続の流れと必要書類、破産手続開始決定の効力、破産手続開始決定後の禁止事項と制限事項などについて解説します。

破産手続開始決定(旧破産宣告)の概要と条件

破産手続開始決定とはどのような手続で、どのような場合に認められるのでしょうか。破産手続開始決定の概要と認められる条件について説明します。

1.破産手続開始決定(旧破産宣告)とは

破産手続開始決定とは、破産を申し出た者に対して、裁判所が破産手続の開始を認める決定を下すことをいいます。破産手続は、住所地を管轄する裁判所で破産手続開始の申立てを行い、破産手続開始決定がなされて初めて開始されます。
破産法第30条1項には、以下のように規定されています。
“裁判所は、破産手続開始の申立てがあった場合において、破産手続開始の原因となる事実があると認めるときは、次の各号のいずれかに該当する場合を除き、破産手続開始の決定をする。

1. 破産手続の費用の予納がないとき
2. 不当な目的で破産手続開始の申立てがされたとき、その他申立てが誠実にされたものでないとき。“

2.破産手続開始決定の条件

個人の場合、破産手続の開始が認められるためには、破産申立てした者が支払不能であることが必要です(破産法第15条1項)。支払不能であるか否かは、破産申立てした者の資産、負債総額、現在の収入、社会的地位、技能などを裁判所が個別具体的に考慮した上で判断します。「借金総額が300万以上」などという明確な基準があるわけではないため、一般の方が判断するのは難しいかもしれません。多額の借金を抱えていても、十分な資産や収入等があると判断された場合、支払不能であるとは認められず、破産手続の開始ができない可能性もあります。

借金返済義務を免除する免責許可の概要と条件

破産申立てした者が借金の返済義務を免除されるためには、破産手続の開始が認められるだけでは足りません。破産手続の開始後、免責許可が認められることにより、借金の支払いが免除されることになります。個人の破産手続において非常に重要な意味を持つといわれる免責許可の概要と認められる条件について説明します。

1.免責とは

破産手続は、厳密に言うと以下の2つの種類の手続で構成されています。

  • 破産手続:債権者の権利を保護するために、破産者の財産を清算して債権者に分配する手続
  • 免責手続:破産申立てした者の借金の返済義務を免除する手続

個人である債務者が破産手続開始の申立てをしたときは、破産手続と同時に免責許可の申立てをしたものとみなされます(破産法248条4項)。ただし、破産と免責は認められる条件が異なります。破産申立てした者が生活を立て直すためには、免責を認めてもらい、借金の返済義務が免除されることが非常に重要です。

2.免責不許可事由に該当しないことが条件

破産法252条1項に定められた免責不許可事由がある場合,原則として免責が認められません。つまり、免責が認められるためには、免責不許可事由に該当しないことが条件となります。免責不許可事由に該当するケースとして、以下のようなものが挙げられます。

  • 借金の大半が、ギャンブルや浪費によるものである
  • 財産を隠蔽した
  • 一部の債権者にだけ優先的に返済した
  • 以前にも自己破産したことがあり、免責から7年未満である
  • 裁判所や破産管財人の調査に協力しない

免責不許可事由に該当する場合でも、裁判所の裁量により免責が認められる場合もあります。このことを裁量免責といいます。実際、競馬やパチンコ等のギャンブルが原因で多額の借金をした場合でも免責が認められるケースはあります。
免責不許可事由や裁量免責について詳しく知りたい方はこちらの記事を参考にしていただければと思います。

破産手続の流れと必要書類

破産手続を開始するためには、どのような書類を準備する必要があり、また、破産手続はどのような流れで行われるのでしょうか。破産手続を行う際に用意する必要のある書類と破産手続の流れについて説明します。

1.破産手続に必要な書類

破産手続を行うためには、主に以下のような書類が必要となります。

  • 裁判所指定の申立て書
  • 破産を申請する理由や生活状況を記載した陳述書
  • 債権者を全て記載した一覧表
  • 住民票
  • 給与明細
  • 源泉徴収票
  • 預金通帳のコピー

また、車や土地、家を所有している場合は、車検証や権利書のコピーも用意する必要があります。破産手続に必要な書類は裁判所によって異なるので、必ず管轄の裁判所で確認しましょう。

2.破産手続の流れ

破産手続の流れは以下のとおりです。
1. 必要書類を用意し、管轄の裁判所で破産手続開始の申立てを行う。
2. 裁判所より、破産手続開始決定(旧破産宣告)を受ける。

破産手続開始決定後は、裁判所の判断により、以下のいずれかの手続が行われます。

  • 同時廃止:破産手続開始決定と同時に同時廃止決定がなされ、破産手続は終了となる
  • 管財事件:破産管財人が選定され、破産申立てした者の財産を債権者に分配する手続が行われる

破産手続の流れについて詳しく知りたい方はこちらの記事を参考にしていただければと思います。

破産手続開始決定の効力

破産手続開始決定を受けると、破産申立てした者は、説明義務と重要財産開示義務という2つの義務を負うことになります。2つの義務の内容について説明します。

1.説明義務

説明義務とは、破産管財人等に求められた場合、必要な説明をする義務のことをいいます(破産法第41条)。破産を申請するに至った経緯や理由、財産状態などについて説明を求められる場合もありますが、その際は、包み隠さず真実を説明することが大切です。
説明を拒む、虚偽の説明をする等の説明義務に違反する行為をした場合、3年以下の懲役か300万円以下の罰金、またはその両方を科せられる可能性があります(同法第268条1項)。
説明義務には、必要な書類の提出義務も含まれると解されているため、必要な書類の提出を求められた場合は用意して下さい。

2.重要財産開示義務

重要財産開示義務とは、破産手続開始後に遅滞なく,所有する不動産・現金・有価証券・預貯金・その他裁判所が指定する財産の内容を記載した書面を裁判所に提出する義務のことをいいます(同法第41条)。裁判所から求められた際にすぐに提出できるよう、必要な書類は手元に用意しておくとよいでしょう。
書面の提出を拒む、虚偽の書面を提出する等の違反行為をした場合、説明義務違反と同様に3年以下の懲役か300万円以下の罰金、またはその両方を科せられる可能性があります(同法第269条1項)。また、説明義務や重要財産開示義務に違反した場合、前述した免責不許可事由に該当するため、免責が認められなくなる可能性があるという点も認識しておきましょう。

破産手続開始決定後の禁止事項と制限事項

破産手続開始決定後、免責決定までの間、財産の処分は禁止されます。また、この期間中の就労が禁じられている職業もあります。破産手続開始決定後に注意が必要な禁止事項と制限事項について具体的に説明します。

1.財産の利用や処分は禁止

破産手続開始決定後、管財事件となった場合、破産申立てした者の財産は全て裁判所が選任した破産管財人によって管理されることになります(破産法第78条1項)。そのため、破産申立てした者は、自分で財産の利用・処分は一切できません。
ただし、個人による自己破産の場合、99万円以下の現金は、自由財産として利用することが認められています(同法第34条3項1号)。

また、生活に欠かすことができない財産も自由財産として保有し、自由に使い続けることができます。具体的には、寝具、家具、台所用品、衣類などです。ただし、高価なブランド品の衣類や家具は自由財産として認められない可能性もあります

2.財産を隠蔽しないこと

自動車については、裁判所の裁量で自由財産として認められることもありますが、査定価値が20万円を超える自動車は、ほとんどの場合、処分されます。自動車が処分されないよう、破産申立て前に破産申立てをする者から家族名義に変更しようと考える方もいらっしゃるようですが、財産の隠匿とみなされる可能性が高いため注意が必要です。また、破産申立て前に車を売却することも、財産の隠匿とみなされる可能性があります。

3.破産手続中の制限事項

破産手続開始決定から免責決定までの間は、破産申立てした者の居場所を把握するため、許可なく居住地を離れることはできません(破産法第37条)。また、この期間中は、士業をはじめとする以下のような職業に就くことが制限され、これらの仕事に必要な資格も効力を失います。

  • 弁護士
  • 税理士
  • 公認会計士
  • 社会保険労務士
  • 派遣元責任者
  • 警備員
  • 探偵
  • 生命保険の募集員

上記の職業に就いている方は、就労できない期間が生じるという点に留意しておきましょう。

公共料金や税金の扱い

免責が認められた場合、公共料金や税金の滞納分の支払いも免除されるのでしょうか。公共料金や税金がどのような扱いになるのか説明します。

1.公共料金の支払い義務

ガス代や電気代などの公共料金を滞納していた場合、破産手続開始決定までの滞納分が免責の対象となります。そのため、破産手続開始決定後の公共料金については支払う義務が発生します。
なお、水道代に関しては、上水道は破産手続開始決定までの滞納分が免責の対象となりますが、下水道は免責の対象にはなりません。そのため、免責が認められた場合でも、下水道の滞納分は支払う義務があるという点に注意が必要です。

2.税金は免除されない

所得税や住民税などの税金、健康保険や国民年金などの社会保険料は免責の対象ではありません。そのため、債務の免責が認められた場合でも、滞納分の税金は支払わなくてはならないという点は留意しておきましょう。
また、滞納を続けると滞納日数に応じて延滞金が発生します。そのため、税金の支払いが困難になった場合はすぐに税務署に相談することをおすすめします。「国税徴収法第151条の2」では、滞納による財産の換価(一定期間滞納した納税者の財産を差し押さえ、その財産を売却すること)の猶予について、以下のように規定されています。

“滞納者がその国税を一時に納付することにより、その事業の継続またはその生活の維持を困難にするおそれがあると認められる場合において、その者が納税について誠実な意思を有すると認められるときは、その国税の納期限から6ヵ月以内にされたその者の申請に基づき、1年以内の期間を限り、その納付すべき国税につき滞納処分による財産の換価を猶予することができる。”

また、税務署や日本年金機構など該当窓口に相談・申請することにより、税金の分納や社会保険料の免除・猶予が認められる場合もあります。税金や社会保険料は免責されないため、支払いが難しくなった時点で相談することをおすすめします。

まとめ

今回は、破産を検討されている個人の方に向けて、破産手続開始決定(旧破産宣告)の概要と条件、借金返済義務を免除する免責許可の概要と条件、破産手続の流れと必要書類、破産手続開始決定の効力、破産手続開始決定後の禁止事項と制限事項などについて解説しました。

ギャンブルや浪費が原因で借金を抱えていて免責不許可事由に該当する可能性がある、借金は抱えているものの自己破産すべき状況なのか判断がつかない等、不安や疑問をお持ちの方は、借金問題や債務整理に精通した弁護士に相談することをおすすめします。

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弁護士宮地 政和 第二東京弁護士会
弁護士登録後、都内の法律事務所に所属し、主にマレーシアやインドネシアにおける日系企業をサポート。その後、大手信販会社や金融機関に所属し、信販・クレジットカード・リース等の業務に関する法務や国内外の子会社を含む組織全体のコンプライアンス関連の業務、発電事業のプロジェクトファイナンスに関する業務を経験している。