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投稿日: 弁護士 瀧澤 花梨

自己破産ができない確率は?ギャンブルによる借金・生活保護等のケースも解説

「自己破産ができない場合があると聞いたけれど、どの程度の確率で自己破産ができないのか知りたい」
「ギャンブルにより多額の借金を負った場合は、自己破産ができない可能性があると聞いたけれど本当なのか知りたい」
このような疑問をお持ちの方もいらっしゃるのではないでしょうか。

今回は、自己破産の申立てが認められる条件、自己破産が認められない確率、ギャンブルにより多額の借金を負った場合や生活保護を受けている場合など具体的なケース別の自己破産ができない可能性などについて解説します。

自己破産の申立てが認められる条件

自己破産の申立てが認められるのは、裁判所に、借金返済が不可能な状態(支払不能状態)であると認められた場合のみです。支払不能状態かどうかは、以下のような事情を総合的に考慮して判断されます。

  • 借金の総額
  • 毎月の返済額
  • 所有資産の総額
  • 現在の収入
  • 年齢
  • 家族構成

どれほど多額の借金を負っていても、資産や収入が十分あり、返済が可能だと判断された場合は自己破産の申立ては認められません。あくまで一般的な目安ですが、月々の返済額が手取り収入から住居費を引いた金額の3分の1を超えている場合に、支払不能状態であると認められるとされています。

免責不許可事由と裁量免責

自己破産の申立てが認められる条件に該当し、裁判所から破産手続開始の申立てが認められても、破産法に定められた免責が認められない事由(免責不許可事由)に該当する場合は、免責が認められない可能性があります。免責が認められなければ、個人の自己破産の最大の目的である借金の返済義務の免除が得られないことになります。
免責不許可事由と、免責不許可事由に該当する場合でも免責が認められる裁量免責について説明します。

1.免責不許可事由とは

免責不許可事由とは、文字通り、免責が不許可となる事由のことをいい、破産法第252条に規定されています。免責不許可事由は、主に以下の2つの種類に分類されます。

  • 債権者の権利を害する行為
  • 破産法上の義務に違反する行為

債権者の権利を害する行為には、所有している財産を隠すこと、特定の債権者のみ優先して借金を返済すること、ギャンブルなどによる浪費や賭博が借金の主な原因であることなどが該当します。
破産法上の義務に反する行為には、破産手続の課程で裁判所が行う調査に対して虚偽の説明をする、説明を求められた際に拒否するなどの行為が該当します。

2.裁量免責とは

1の免責不許可事由に該当する場合でも、裁量免責により、免責が認められる場合があります。裁量免責とは、免責不許可事由がある場合でも、自己破産に至るまでの経緯や破産申立人の事情を考慮して、裁判所の裁量で免責許可を決定することをいいます(破産法第252条2項)。
裁量免責が認められる基準について明確に定められた規定はなく、まさに裁判所の「裁量」に委ねられていますが、主には以下のような点が考慮されます。

  • 免責不許可事由の程度(重大な悪意が認められないか等)
  • 債務者が反省しているか
  • 破産手続きに誠実に向き合い、破産管財人や裁判所に協力的であるか
  • 免責を得た後に生活を再建する意志があるか

上記の点を総合的に判断した上で、問題ない場合は、裁量免責により免責が認められます。

免責不許可事由が極めて悪質で酌量の余地がない、破産管財人の業務を妨害した、裁判所の呼び出しに応じないなど、債務者の態度等に甚だしく問題がある場合は、裁量免責が認められない可能性があります。
免責不許可事由と裁量免責についてはこちらの記事にまとめましたので、詳しく知りたい方は参考にしていただければと思います。

免責不許可事由により自己破産できない確率

免責不許可事由に該当する場合、実際にどの程度の確率で自己破産が認められないのか知りたいという方もいらっしゃるかと思います。自己破産が認められない確率について、実際の調査データを元に説明します。

1.実際は97%前後の確率で免責が認められている

自己破産の本来の目的は、債務者の経済的な更生を図ることです。そのため、破産申立人が経済的な更生を実現できる可能性があると裁判所に判断されれば、ほとんどの場合は裁量免責が認められます。
実際、日本弁護士連合会が公表している『2017年破産事件及び個人再生事件記録調査』によると、自己破産の申立てを行った方の約97%が免責を得ているそうです。

2.免責不許可事由により自己破産できない確率は1%未満

同調査書にて免責が認められなかった約3%の内訳を見ると、申し立ての取り下げを行ったケースが全体の約2%と最も多く、免責不許可と判断されたケースは1%未満のようです。
日本弁護士連合会は概ね3年に1度の頻度で調査結果を発表していますが、2000年度以降、免責不許可となるケースは全体の1%以下と低い割合で推移しています。このことからしても、免責不許可事由に該当しても、裁量免責により自己破産が認められる方が圧倒的多数であるといえるでしょう。

ケース別に解説・こんな場合は自己破産できない?

具体的にどのような場合に自己破産ができない可能性があるか知りたいという方もいらっしゃるかと思いますので、自己破産ができない可能性について、ケース別に説明します。

1.ギャンブルにハマって多額の借金をした場合

競馬、競輪、競艇、パチンコ、競艇などのギャンブルは、賭博その他の射幸行為に含まれます。そのため、ギャンブルにハマって多額の借金を負った場合は、免責不許可事由(破産法第252条1項4号)に該当します。
しかし、前述した『2017年破産事件及び個人再生事件記録調査』によると、借金の主な理由はギャンブルであるとの回答が全体の約5%を占めていますが、免責不許可となったケースは全体の約0.57%です。この結果から、借金を負った主な原因がギャンブルだという場合でも、自己破産の申立てを行い、免責を得ることは十分可能だということがわかります。
なお、自己破産に至った主な原因がギャンブルだという場合、裁判所が裁量免責を認めるか否か判断するための材料として、反省文の提出を求められる場合があります。その場合は、ギャンブルにハマって借金を重ねてしまったが、現在はギャンブル依存症を治すためにカウンセリングを受けているなど、改善に向けて努力していることを伝えるとよいでしょう。

2.ホストやキャバクラ嬢に貢いだ場合

ホストやキャバクラ嬢に多額のお金を貢いだために、多額の借金を負った場合は、自己破産ができないのではと思われている方もいらっしゃるかもしれません。
たしかに、ホストやキャバクラ嬢に多額のお金を貢いだ場合、免責不許可事由の浪費行為(破産法第252条1項4号)に該当する可能性があります。
ただし、ギャンブルと同様に、裁量免責が認められる可能性はあります。反省文の提出を求められる可能性もありますが、その際は、自身の行為について深く反省しており、同じ行為を繰り返さないことを心に誓っている旨を記載するとよいでしょう。

3.うつ病などの精神疾患を発症したために働けない場合

うつ病などの精神疾患は、他人から理解されにくく、周りの人から「体は元気なんだから働けるはず」、「働けないのではなく、怠けているだけ」などと言われることもあるかもしれません。そのため、うつ病などの精神疾患で働けないために借金が返済できないという理由では自己破産はできないのではと思われている方もいらっしゃるようですが、そんなことはありません。
精神疾患も病気であることに変わりはなく、精神疾患だからといって、自己破産が認められないということはありません。自己破産の申立てを行う際は、支払不能に陥った事情を説明する必要があるので、裁判所に診断書を提出した上で、うつ病により働けなくなった経緯などを説明しましょう。

4.生活保護や年金を受給している場合

生活保護や年金を受給している場合、自己破産はできないのではないか、自己破産をしたら生活保護や年金の受給資格を失うのではないかなどと不安に思われている方もいらっしゃるかと思います。しかし、生活保護や年金を受給している場合でも、自己破産の申立てを行うことはできます。また、自己破産をしたからといって、生活保護や公的年金の受給資格が失われることはありません。

5.2回目の自己破産の場合

以前に自己破産の申立てを受けて免責を受けたことがある場合、前回、免責許可の決定が確定した日から7年以内は、自己破産の申立てをしても原則として免責は認められません(破産法第252条1項10号)。
ただし、2回目の自己破産の原因が、前回の自己破産の原因と異なる場合、裁量免責により認められる可能性はあります。ただし、2回目の自己破産では、初回よりも詳しく事情を調査される可能性が高いという点には注意が必要です。

まとめ

今回は、自己破産の申立てが認められる条件、自己破産が認められない確率、ギャンブルにより多額の借金を負った場合や生活保護を受けている場合など具体的なケース別の自己破産ができない可能性などについて解説しました。

免責不許可事由に該当する場合でも、実際は裁量免責により免責が認められるケースは非常に多いです。免責が認められるか不安だという方は、債務整理に精通した弁護士に相談して、状況を説明した上で、判断してもらうとよいでしょう。

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弁護士瀧澤 花梨 東京弁護士会
約5年の間、一般民事を担当。その経験の中で、弁護士に対する敷居の高さを感じ、抱えているトラブル以前に、弁護士に相談することに大きな緊張や不安を抱えている人が少なくないということを学ぶ。この経験から、相談者にとって親しみやすく、どんなことでも安心して話しせる弁護士を目指す。