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投稿日: 弁護士 徳山 紗里

個人再生手続の流れと所要期間・ 注意すべきポイントも解説

「個人再生の手続は具体的にどのような流れで進むのか知りたい」
「個人再生の手続が完了するまでに、どの程度の期間を要するのか知りたい」
このような疑問をお持ちの方もいらっしゃるのではないでしょうか。
今回は、個人再生の概要、個人再生手続の流れと注意点、個人再生手続の所要期間などについて解説します。

個人再生とは

個人再生は、借金やローン等の返済が困難になった債務者が、裁判所に申立を行い、経済的な建て直しを図る債務整理の手続です。債務を5分の1程度に減額し、減額された債務を原則3年(最長5年)で分割返済する計画を裁判所に認めてもらい、計画通りに返済することで、残りの債務を免除してもらうことが可能です。
ただし、個人再生を利用するためには、民事再生法第221条1項に定められている以下の条件を満たす必要があります。

  • 住宅ローン等を除く債務総額が5千万円以下であること
  • 将来に渡り継続的または反復して収入を得る見込みがあること

安定した収入を得る見込みがない場合は、個人再生手続を利用することはほぼ不可能といえるでしょう。
個人再生には以下の2つの種類があります。

  • 小規模個人再生手続:個人再生の基本型といわれている手続
  • 給与所得者等再生手続:安定した収入が得られる見込みがあることを条件に、小規模個人再生の手続を簡略化した手続

小規模個人再生手続と給与所得者等再生手続の利用要件、個人再生と自己破産等の他の債務整理との違いなどは、こちらの記事にまとめていますので、参考にしていただければと思います。

個人再生手続の基本的な流れと注意点

個人再生は裁判所へ申立てを行えば、すぐに認可されるものではありません。個人再生の申立てに必要な書類の準備から認可決定までの基本的な流れと注意点について説明します。

1.個人再生手続に必要な書類の準備

個人再生手続を地方裁判所に申立ての際は、主に以下のような書類が必要です。

  • 申立書
  • 陳述書
  • 債権者一覧表
  • 家計収支表
  • 財産目録
  • 申立人を証明する添付書類(戸籍謄本・住民票の写し等)
  • 財産や家計に関する添付書類(給与明細書・通帳の写し・固定資産評価証明書等)
  • 借金等の存在を証明する添付書類(借用書・明細書等)
  • 住宅ローンがある場合、住宅資金貸付契約の書面コピー等

申立書等の用紙は、地方裁判所の窓口やホームページ等で取得することができます。
また、申立人を証明する添付書類は以下の方法で取得できます。

  • 戸籍謄本:本籍地のある市区町村役場に申請すれば1通450円で取得可能
  • 住民票:住民登録をした市区町村役場に申請すれば1通300円で取得可能

いずれも郵送で取り寄せることも可能ですが、申請の際は、申請書および本人確認書類(運転免許証等)の提示が必要となります。
それ以外の添付書類は、手元に保管していないものについては、勤務先や公的機関などから入手します。個人再生の手続に必要な書類は状況に応じて異なり、また多岐に渡ります。

2.地方裁判所への申立て

必要な提出書類が全て揃ったら、ご自身の居住地を管轄する地方裁判所(自営業者で営業所がある場合は、主たる営業所の所在地を管轄する裁判所)に申立てを行います。申立時には必ず納める費用があり、地方裁判所ごとに決められています。
東京地方裁判所に申し立てる場合は、以下の費用が必要となります。

  • 申立手数料:10, 000円(収入印紙)
  • 予納金(官報掲載料):13, 496円
  • その他:予納郵券1,600円+(債権者数×2×120円)+(82円×3)

東京地方裁判所の場合、個人再生委員が全件選任されるので、上記に加えて、15万円~25万円程度の予納金が必要となります。予納金の納付方法は分納となります。
民事再生法では、裁判所が必要に応じて個人再生委員を選任して個人再生の手続を指導監督させることができると定められています(同法第223条1項)。そのため、個人再生委員の選任の判断基準は、地方裁判所によって異なります。東京以外では、申立て時に弁護士が代理人となっている場合は原則として個人再生委員を選任しないという運用を行っている裁判所も多いです。
申立てをする際に裁判所に納める費用は裁判所ごとに異なるので、居住地の住所を管轄する地方裁判所の公式サイト等で確認して下さい。

3.個人再生手続開始決定

申立て後、個人再生委員が選任された場合、個人再生委員が申立人の財産や収入の状況を調査します。その後、裁判所は、個人再生委員による調査結果を踏まえて、個人再生手続を開始する旨の決定を下します。
個人再生委員が選任されない場合、裁判官との面談で、債務の内容や債務の支払いが困難になった経緯、返済の見込みなど関する質疑応答が行われます。回答の内容に問題がなければ、手続開始の決定が下されます。

4.債権額の調査と確定

次に、債権額の調査と確定のための作業が行われます。具体的には、以下の手順で行われます。

  1. 地方裁判所から申立人の債権者(金融業者など)に、再生手続開始決定書・債権届出書(申立人の借金額を調査・確定するための書類)を送付
  2. 債権者は、指定された期日までに、債権届出書を地方裁判所へ提出
  3. 申立人が、債権届出書の内容をまとめた債権認否一覧表を裁判所に提出
  4. 裁判所が債権認否一覧表に基づき、債権額を確定

債権者と債務者が主張する借金額が異なる場合、裁判所が調査して、最終的な決定を下します。

5.返済期間等を定めた再生計画案の提出

次に、再生計画案を作成して期日までに裁判所に提出します。再生計画案を期日までに提出できない場合、手続は途中で廃止となるので必ず期日までに提出することが必要です。
再生計画案は、通常は3年間、特別な事情がある場合でも5年間で完済する内容とすることが求められます。また、返済方法は、3ヶ月に1回以上の分割払いである必要があります。

6.再生計画案の書面決議または債権者の意見聴取

債権者が再生計画案を認めるか確認するために、以下の手続を行います。

  • 小規模個人再生手続の場合:書面決議
  • 給与所得者等再生手続の場合:意見聴取

小規模個人再生手続の場合、書面決議により、以下の2つの要件を満たさないと、債権者の同意がないと判断されて、認可されないという点に注意が必要です。

  • 債権者の過半数が再生計画に同意している
  • 反対している人の債権額が総額の1/2以下である

7.個人再生認可決定

裁判所は、債権者の意見、再生計画案の履行実現性などを元に、再生計画の認可決定を下します。認可決定から約1か月後に認可決定が確定し、手続は完了となります。
裁判所が、再生計画を認めることができないと判断した場合は、不認可決定となります。

個人再生手続の所要期間

個人再生の手続の流れを説明しましたが、全ての手続が完了するまでには、どの程度の期間を要するのでしょうか。個人再生手続の所要期間について説明します。

1.最短でも6ヶ月程度はかかる

個人再生認可決定までの所要期間は、各地方裁判所の運用、手続の種類などによっても異なりますが、最短でも6か月程度はかかります。
最短の所要期間の目安は以下の通りです。

  • 申立てに必要な書類の準備に必要な期間:約1か月
  • 申立てから個人再生手続開始決定までの期間:約1か月
  • 再生計画案の提出までの期間:約2か月
  • 再生計画案の認可までの期間:約2か月

2.所要期間が長引く要因

個人再生の手続に8~12か月程度かかることも珍しくありません。所要期間が長引く要因として、以下のようなものが挙げられます。

  • 書類の準備に手間取る
  • 債権者数が多い
  • 申立人と債権者が主張する借金額が異なる

上記の要因がある場合でも、債務整理に精通した弁護士に個人再生の手続を依頼することにより、速やかに手続を進められる可能性はあります。

個人再生の手続に関するよくある質問と回答

最後に、個人再生の手続に関して、よくいただく質問に回答したいと思います。

1.自分だけで個人再生手続を行うことは可能?

個人再生手続は、法律上、弁護士などの法律の専門家に依頼しないとできないと定められているわけではありません。そのため、申立人本人だけで行うことは可能です。
ただし、個人再生手続では、提出が必要な書類が多く、申立人本人だけで手続を行う場合、膨大な作業を一人でこなさなければいけません。裁判所が定めた期間内に必要な書類を提出できない場合は、手続が途中で終了となり、個人再生が実現できない可能性もあります
仙台裁判所の公式サイトには以下のように記載されています。

決して安易な手続ではありませんから,申立を行う場合には,なるべく法律の専門家である弁護士に依頼することをお勧めします。
引用元:個人再生手続利用にあたって(仙台裁判所公式サイト)

弁護士への依頼を検討したいけれど、費用が心配という方はこちらの記事を参考にしていただければと思います。

2.履行可能性テストとは?

東京地方裁判所等で行われている履行可能性テストは、申立人が将来に渡り、継続的に返済をすることが可能か確認するために行われるものです。具体的な内容としては、個人再生委員の報酬である15万円~25万円程度の予納金を、個人再生委員が指定する口座に毎月分割払いで支払います。
履行可能性テスト中に滞納した場合は、返済能力がないと判断されて、個人再生手続が途中で廃止となる可能性があるため、滞納しないよう注意が必要です。

3.アルバイトやパートでも個人再生の手続は可能?

個人再生手続を利用するためには、継続的または反復して収入を得る見込みがあることが条件となるため、アルバイトやパート職員は利用できないと思われる方もいらっしゃるかもしれませんが、必ずしも利用できないとは言えません。個人再生手続は雇用形態に関わらず利用できる制度なので、アルバイトやパートなどの非正規雇用の労働者でも、毎月一定以上の収入を得ていれば、個人再生の手続を行うことができる可能性はあります。
ただし、現在、無職の方の場合は、継続的または反復して収入を得る見込みがあることを証明することが難しいため、個人再生の手続はできないと考えた方がよいでしょう。

4.個人再生と任意整理との違いは?

任意整理は、個人再生とは違い、裁判所が関与することなく、債権者との交渉により行う債務整理の方法です。通常は、弁護士に依頼して行います。任意整理では、対象とする債務を選択できるため柔軟な解決が可能で、周囲に知られる可能性が低いというメリットもあります。
ただし、利息や遅延損害金のみが減額される場合が多く、あまり返済額が減らない可能性もある等のデメリットもあります。

5.個人再生と自己破産との違いは?

自己破産は、裁判所の関与の元行われる債務整理の手続という点は個人再生と共通していますが、個人再生では債務が5分の1程度に圧縮されるだけなのに対し、自己破産では債務が全額免除されるという大きな違いがあります。
個人再生では、安定した収入を得られることが条件となりますが、自己破産では、支払不能であることが認められることが条件となります。そのため、個人再生の手続を行うことができない無職の方も利用できる可能性があります。
ただし、自己破産には、持ち家や自家用車等の財産は原則として処分しなければならないというデメリットがあります。

まとめ

今回は、個人再生の概要、個人再生手続の流れと注意点、個人再生手続の所要期間などについて解説しました。

個人再生の手続には、必要な書類が多く、書類の内容は厳格に審査されます。個人再生を確実に成功させたい場合は、債務整理に精通した弁護士に相談することをおすすめします。

私達、東京スタートアップ法律事務所は、借金をリセットして自分らしい生活を送るための基盤作りを全力でサポートさせていただきたいと考えております。債務整理の実績を豊富に持つ弁護士が個人再生の手続を担当致しますので、安心してお任せください。また、個人再生以外の債務整理の方法についても検討したいという場合は、相談された方の状況やご希望を丁寧にお伺いした上で、最適な方法をご提案させていただきます。秘密厳守はもちろんのこと、分割払い等にも対応しておりますので、お気軽にご相談いただければと思います。

弁護士徳山 紗里 東京弁護士会
京都女子大学法学部卒、東京スタートアップ法律事務所入所。日本で唯一の女子大法学部を卒業し、卒業生で初の弁護士となる。