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投稿日: 弁護士 沼口 格

借金救済制度とは?種類や仕組み、利用条件について解説

「借金救済制度とは、具体的にどのような制度なのか知りたい」
「借金救済制度を利用するためには、どのような条件を充たせばよいか知りたい」
多額の借金を抱えて、生活に困窮している方の中には、このような疑問をお持ちの方もいらっしゃるのではないでしょうか。
今回は、日本における借金救済制度の概要と種類、種類別の利用条件とメリット・デメリットなどについて解説します。

日本における借金救済制度とは

日本には、多額の借金を抱えて生活が困窮している個人の方を救済し、経済的な再建を支援するための法的な制度が整備されています。まずは、日本における借金救済制度の概要、借金救済制度の目的と種類について説明します。

1.日本独自の借金救済制度

日本には、破産法という法律で定められた代表的な借金救済制度が存在します。以前の日本の破産法体制は、ドイツ法を元に、破産者の財産を清算することに重点が置かれていました。しかし、不況が続き、倒産する企業が増えるなどの社会情勢を踏まえ、2004年により迅速にかつ効果的な処理ができるように破産法が改正されました。これにより、日本独自の借金救済制度が整備されました。

2.借金救済制度の目的と種類

借金救済制度の主な目的は、債務者の経済的生活の再建です。借金救済制度を活用することにより、現在抱えている債務を整理し、生活の基盤を再構築することが可能となります。

現在の日本には、裁判所を介して行う法的な手続による3つの債務整理の方法と、裁判所を介さずに債権者と直接交渉を行い債務の減額を行う債務整理の計4種類の債務整理の方法が存在します。

裁判所を介して行う債務整理

  • 自己破産
  • 個人再生
  • 特定調停

債権者と直接交渉する債務整理

  • 任意整理

それぞれの債務整理の利用条件、メリットとデメリットについて説明します。

自己破産の利用条件とメリット・デメリット

自己破産は、借金の返済が不可能な状態に陥った債務者が、破産法に則って、裁判手続により財産の清算を図るとともに債務を免除してもらう手続です。税金などを除く債務が全て免除されるという点が、他の債務整理方法との大きな違いです。

1.自己破産の利用条件

自己破産の手続は二段階となっており、破産手続開始の申立てとともに免責を求める申立てを行います。破産手続きの申立を行っても裁判所から免責を許可してもらわなければ借金の返済義務は免除されません。
破産手続開始の申立てが許可されるためには、借金返済が不可能な状態(支払不能状態)であると認められことが条件となります。支払不能状態かどうかは、借金の総額だけではなく、申立人の収入や所有している資産なども含め、総合的に判断されます。また、免責については、ギャンブルが原因で多額の借金をした等の免責不許可事由に該当する場合は免責が認められない可能性があります。ただし、免責不許可事由に該当する場合でも、裁判所の裁量により、免責が認められる可能性があります(これを裁量免責といいます)。
免責不許可事由と裁量免責について詳しく知りたい方はこちらの記事を参考にしていただければと思います。

2.自己破産のメリット

自己破産の最大のメリットは法的に債務が免除され、返済義務がなくなることです。
さらに申立てを行い手続が開始されると、差し押さえなどの強制執行もされなくなります。また、生活を立て直すために必要な最低限の財産は手元に残せます。

3.自己破産のデメリット

自己破産の主なデメリットは以下の通りです。

  • 自己破産後約5年~10年の間、新たな借入やクレジットカード作成ができなくなる
  • 家や車などの所有している財産が処分される
  • 官報に掲載される
  • 一定期間だけ働けない等の制限がかかる職業がある

自己破産をすると、信用情報機関に事故情報として登録されるため、約5年~10年の間、新たな借入やクレジットカード作成を行うことができなくなります。その点は不便に感じる方も多いかもしれませんが、デビッドカードを利用する等の工夫をされている方も多くいらっしゃいます。
自己破産に対してネガティブなイメージをお持ちの方は多くいらっしゃいますが、自己破産は、借金の支払いが困難な状況に陥った方が経済的に再建を図るための借金救済制度なので、日常生活に支障を来すような大きなデメリットはありません。

個人再生の利用条件とメリット・デメリット

個人再生は、民事再生法に則って裁判所を介して行う債務整理の手続です。債務の支払いが厳しくなった債務者が全債権者に対する支払総額を圧縮し(原則として5分の1程度)、その圧縮された債務額を原則3年(最長5年)で返済する再生計画案を裁判所に提出し、裁判所に認められた場合は、その計画通りの返済をすることによって残りの債務が免除されるという手続きです。

1.個人再生の利用条件

個人再生を利用できる条件は、民事再生法第221条1項で以下のように定められています。

  • 住宅ローン等を除く債務総額が5千万円以下であること
  • 将来に渡り継続的または反復して収入を得る見込みがあること

個人再生には、小規模個人再生と給与所得者等再生の2つの種類があり、上記の条件以外に、種類ごとの条件もあります。
個人再生の種類や利用する条件については、こちらの記事にまとめましたので、詳しく知りたい方は参考にしていただければと思います。

2.個人再生のメリット

個人再生の最大のメリットは、住宅ローンを支払い中の自宅を維持したまま、債務元本を大幅に圧縮することができる点です。また、自己破産の免責不許可事由に該当する規定はないため、借金をした原因が問題になることはありません。また、継続的にまたは反復して収入を得られる見込みがあれば職業の制限がないことが自己破産と比較した場合のメリットと言えます。

3.個人再生のデメリット

個人再生の主なデメリットは以下の通りです。

  • 個人再生後約5年~10年の間、新たな借入やクレジットカード作成ができなくなる
  • 手続が煩雑で時間がかかる
  • 安定した収入がない場合は利用できない
  • 官報に掲載される

個人再生は、債務整理の中でも必要な書類が多く、手続が煩雑なため、ほとんどの方は弁護士に手続を依頼します。

任意整理の利用条件とメリット・デメリット

任意整理は、裁判所を介さず、債務者が債権者と交渉することにより、毎月の借金の返済額の減額を図る債務整理の方法です。

1.任意整理の利用条件

任意整理は、自己破産や個人再生のように、法律に則って行う債務整理の方法ではないため、法律で定められた利用条件はありません。
ただし、任意整理は、自己破産のように債務を免責する手続ではなく、毎月の返済額の減額を主な目的とする債務整理の方法です。そのため、毎月の返済を確実に行うことができる安定した収入があり、原則として3年で完済できることが条件となります。

2.任意整理のメリット

任意整理の最大のメリットは、法律で定められた厳格なルールがないため、柔軟な解決を図ることができる点です。例えば、連帯保証人に迷惑をかけたくない場合、連帯保証人が付いている債務を任意整理の対象から外すことにより、連帯保証人に請求が行くことを避けることも可能です。また、自己破産の場合、提出すべき資料が多く、また裁判所に出頭したり、事案によっては破産管財人の調査を受けることになりますが、任意整理の場合にはそのようなことはないため、家族に知られるリスクが低いという点もメリットの一つといえるでしょう。

3.任意整理のデメリット

任意整理は、デメリットの少ない債務整理の方法として知られていますが、法律に則った手続ではないため、必ずしも債権者が交渉に応じてくれるとは限りません。また、多くの場合、任意整理で減額が見込めるのは利息と遅延損害金のみなので、期待していたほど借金が減らないケースも少なくありません
任意整理のデメリットについては、こちらの記事にまとめましたので、詳しく知りたい方は参考にしていただければと思います。

特定調停の利用条件とメリット・デメリット

特定調停は、裁判所の仲裁により、債務者が債権者と交渉して、利息の支払いや返済期間などを調整する手続です。任意整理と似ている手続ですが、裁判所が仲裁するという点で異なります。

1.特定調停の利用条件

特定調停を利用できるのは、借金の支払いが困難な状況である、または困難な状況に陥る可能性があり、かつ返済の見込みがある方です。任意整理と同様に、毎月安定した収入があり、原則として3年で完済することが可能な方が対象となります。

2.特定調停のメリット

特定調停では,裁判所から選任された調停委員が,債務者の債務状況や収入、債権者の意見などを聴取した上で返済計画案を作成してくれます。弁護士や司法書士などの法律の専門家に依頼する必要がないため、専門家に依頼するための費用がかからないというメリットがあります。

3.特定調停のデメリット

特定調停の手続中は、申立や調停のために3回程度は簡易裁判所に出向かなければなりません。そのため、会社員の場合は、平日会社を休んで裁判所に行くなど、スケジュールを調整するのが難しいかもしれません。さらに、特定調停が成立した場合には、調停調書が作成されますが、調停調書には執行力があり、もし、調停で定められた弁済金の支払いができなくなった場合には直ちに強制執行を受けるリスクがあるという点も債務者にとってのデメリットと言えるかもしれません。
また、債権者は必ずしも返済計画に同意する必要はありません。そのため、時間をかけて手続を進めても、調停が不成立となり、債務整理を実現できない可能性もあります。調停が不成立となった場合、任意整理、個人再生、自己破産などの他の手続を検討することになります。そのため、借金救済制度としては特定調停の利用はさほど多くはありません。

まとめ

今回は、日本における借金救済制度の概要と種類、種類別の利用条件とメリット・デメリットについて解説しました。

多額の借金を抱えて返済が困難になった場合、借金救済制度を上手に活用することにより、現在抱えている債務を整理し、経済的な生活の基盤を再構築することが可能です。どの方法が自分に適しているかわからない場合は、債務整理に精通した弁護士に相談するとよいでしょう。弁護士に債務整理の依頼をした場合には、上記のいずれの制度を利用した場合でも債権者からの借金の支払いの督促を止めることができますので、債権者からの取り立ての不安から解放されます。

私達、東京スタートアップ法律事務所は、借金をリセットして自分らしい生活を送るための基盤作りを全力でサポートさせていただきたいと考えております。債務整理に精通した弁護士が、一人ひとりの方の状況やご希望を丁寧にお伺いした上で最適な債務整理の方法をご提案させていただきます。秘密厳守はもちろんのこと、分割払い等にも柔軟に対応しておりますので、安心してご相談いただければと思います。

弁護士沼口 格 第二東京弁護士会
大学卒業後、特別養護老人ホームにて非常勤・一般職員として勤務した後、司法試験を志し法科大学院に入学し司法試験合格後弁護士となりました。 弁護士登録以降は債務整理、離婚、相続、成年後見、交通事故、残業代請求、建物明渡、賃料増減額請求、債権回収、刑事事件等個人のお客様から法人のお客様まで幅広い案件を取り扱ってまいりました。