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投稿日: 更新日: 弁護士 宮地 政和

破産管財人が選任されるケースとは?破産管財人の権限と役割も解説

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「自己破産を申立てると破産管財人が選任されるケースがあると聞いたけれど、どんな場合に選任されるのか知りたい」
「破産管財人とはどのような役割や権限を持っているのか知りたい」
このような疑問をお持ちの方もいらっしゃるのではないでしょうか。
今回は、破産管財人の定義、破産管財人が選任されるケース、破産管財人の主な権限、破産管財人の主な仕事内容と役割、破産管財人が選任された場合の注意点などについて解説します。

破産管財人とは

破産管財人とは、破産法2条第12項で以下のように定義されています。
“破産手続きにおいて破産財団に属する財産の管理及び処分する権利を有する者”
つまり、破産者の財産の管理や、財産の換価(現金化)を行う役割を担う人物です。破産管財人の職務には幅広い法律知識や経験が求められるため、一定の条件を満たした弁護士が裁判所より選任されることになります。

破産管財人が選任されるケースとは

自己破産の手続は、同時廃止と管財事件という2つの種類に大別されます。どちらの手続を選択するかは裁判所が判断し、管財事件とされた場合は裁判所が破産管財人を選任します。管財事件とされる判断基準について具体的に説明します。

1.一定以上の財産がある場合

破産者に一定以上の財産がある場合は、その財産を債権者に分配するために管財事件とされ、破産管財人が選任されます。一定以上の財産があるか否かの判断基準は各地方裁判所によって異なります。
東京地方裁判所では、以下の基準のいずれかを満たす場合、一定以上の財産があると判断されます。

  • 33万円以上の現金を保有している場合
  • 20万円以上の換価対象資産を1つでも保有している場合

換価対象資産とは、現金以外の財産のことで、具体的には、預金、保険解約返戻金、退職金債権の8分の1、自動車などが該当します。

2.免責不許可事由に該当する可能性がある場合

自己破産の手続は、厳密に言うと以下の2つの種類の手続で構成されています。

  • 破産手続:債権者の権利を保護するために、破産者の財産を管理・換価処分債権者に分配する手続
  • 免責手続:破産申請者の債務の返済義務を免除する手続

破産申請者が生活を立て直すためには、免責を許可してもらい、借金の返済義務が免除されることが重要ですが、免責が認められるためには、破産法第252条1項に定められた免責不許可事由に該当しないことが条件となります。例えば、パチンコなどのギャンブルが原因で多額の借金をした場合、財産を故意に隠した場合、特定の債権者のみに返済した場合などが免責不許可事由に該当します。免責不許可事由に該当する可能性がある場合、免責を認めることが妥当であるか調査する必要があるため、破産管財人が選任されて調査を行うことになります。

3.破産管財人による調査が必要な場合

免責不許可事由に該当する可能性がある場合以外でも、裁判官が何らかの調査が必要であると判断した場合は、調査を行うために破産管財人が選任されます。例えば、資産の判定が難しい場合や、自己破産の申立書やその他の提出書類に不明瞭な点がある場合などが挙げられます。
また、破産申立人が会社経営者や役員の場合は、隠れた資産が存在することが多いため、破産管財人が選任されて調査が行われることが多いです。

破産管財人の主な権限

破産管財人は裁判所により選任される弁護士であり、裁判所の代わりに中立の立場で破産手続を進めます。そのため、破産法には破産管財人の権限が規定されています。破産管財人の主な権限について説明します。

1.財産の管理・処分をする権限

破産管財人の主な仕事は破産者の財産を管理して処分や換価することです。破産法第78条1項には以下のように規定されています。
“破産手続開始の決定があった場合には、破産財団に属する財産の管理及び処分をする権利は、裁判所が選任した破産管財人に専属する“
つまり、破産管財人には財産の管理や処分を行う権限があるため、破産者の承諾なく破産者の財産を処分することが可能です。ただし、不動産などの一定の財産の処分については裁判所の許可が必要です。

2.郵便物の閲覧権限

破産手続開始決定以降は、破産者宛ての郵便物は全て破産管財人に転送されます。破産法第81条には以下のように規定されています。
“裁判所は、破産管財人の職務の遂行のために必要があると認めるときは、信書の送達の事業を行う者に対し破産者にあてた郵便物(…「郵便物等」…)を破産管財人に配達すべき旨を嘱託することができる”
また、同法第82条には以下のように規定されています。
“破産管財人は、破産者にあてた郵便物等を受け取ったときは、これを開いて見ることができる”
つまり、転送された郵便物は破産者の承諾がなくても破産管財人が開封して内容を確認することができます。破産管財人が郵便物を確認する目的は、財産の申告漏れや、債権者一覧表に記載されていない債権者の存在をチェックすることです。

3.書類や物件等の調査権限

破産管財人には帳簿や書類等の調査権限が与えられている(破産法第83条)ため、破産者の財産を正確に把握するために、破産管財人は、破産者の帳簿や書類、物件などを調査することができます。また、債権者に公平な配当ができるように負債の調査を行うことも可能です。

破産管財人の主な仕事内容と役割

破産管財人は上記のような権限を行使し、どのような業務を行うのでしょうか。破産管財人の主な仕事内容や役割について説明します。

1.財産の換価と債権者への配当

破産管財人の最も重要な業務の一つが、破産者の財産を全て把握した上で、売却できるものは現金化して、債権者に対して均等に配当することです。破産管財人が管理して債権者に分配する財産のことを破産財団といいます。破産者の財産を全て破産財団に組み入れてしまうと、破産者が生活できなくなるため、生活に必要となる最低限度の財産など、破産財団に組み入れることなく破産者が自由に使用できる財産も残されます。

2.破産に至った原因の調査

前述した通り、免責不許可事由に該当する場合、免責が認められない可能性があります。破産管財人は破産申立人が破産に至った原因などを詳しく調査することにより、免責不許可事由に該当するか否かを判断します。免責不許可事由がある場合は、裁量免責が相当であるか否か検討されます。裁量免責とは、免責許可事由がある場合でも裁判所が諸般の事情を考慮して、裁量により免責を許可することをいいます。
免責不許可事由や裁量免責について詳しく知りたい方はこちらの記事を参考にしていただければと思います。

3.自由財産の拡張への判断

自由財産とは、破産手続きの際でも破産者が保持できる財産のことをいい、具体的には99万円までの現金、破産後に得た財産、家財道具等が含まれます。破産者の生活を保障するため、破産者には自由財産の範囲を広げること(自由財産の拡張)を裁判所へ申し立てることができます。破産者から自由財産の拡張の申立てがあった場合、破産管財人は拡張の妥当性を調査し、裁判所に意見を述べます。

破産管財人が選任された場合の注意点

自己破産の手続において破産管財人が選任された場合、どのような点について注意すべきなのでしょうか。破産管財人が選任された場合の注意点について説明します。

1.引継ぎ予納金は速やかに支払う

破産管財人が選任されると、破産管財人名義の預金口座が作成されるので、連絡を受けたら速やかに引継ぎ予納金を振り込みます。引継ぎ予納金には、破産管財人への報酬や手続にかかる費用などが含まれています。引継ぎ予納金の支払い期限については法律で定められているわけではありませんが、予納金を支払わなければ破産手続が進みません。支払いを行わずに放置し続けた場合、裁判所から手続の取り下げを求められる場合もあるため注意が必要です。自己破産手続をすることを決めた時点で、引継ぎ予納金を準備しておくと、破産手続きもスムーズに進むはずです。

2.管財業務等妨害行為をしないこと

破産管財人の主な業務は破産申立人の財産の調査や債権者への配当、免責不許可事由の有無の調査です。このような業務を妨害する行為は、管財業務妨害行為と呼ばれ、免責不許可事由に該当します(破産法第252条第1項第9号)。例えば、破産管財人から財産の引き渡しを要求された際に拒否するなどの行為は管財業務妨害行為に該当します。管財業務妨害行為は免責不許可事由に該当するため、裁判所から免責を認められなくなるおそれがあります。免責の許可を得るためにも、破産管財人の要求には従い、調査には協力するようにして下さい。

3.調査への説明拒否や虚偽の説明を行わない

破産管財人が選任されると裁判所より連絡があり、破産管財人、破産申立人、破産申立人の代理人の三者で面談を行う日程を調整します。面談では申立書類に基づき、債務内容や収入、家計の状況、財産などの確認を行います。また、免責不許可事由に該当するか、該当する場合は裁量免責が相当かという判断を行うために、債務の原因や問題点などについての聴取が行われます。
破産管財人から、詳しい説明を求められる場面も多いですが、虚偽なく説明を行い、協力的に調査へ応じるようにしましょう。破産管財人の調査に対して、説明することを拒否する、または虚偽の説明をする行為は、管財業務妨害行為と同様に免責不許可事由に該当します(破産法第252条第1項第8号)。隠しておきたい事実があったとしても正直に真実を話すことが大切です。

まとめ

今回は破産管財人の定義、破産管財人が選任されるケース、破産管財人の主な権限、破産管財人の主な仕事内容と役割、破産管財人が選任された場合の注意点などについて解説しました。

破産管財人が選任された場合の対応や手続に関して不安があるという場合には、破産申立てを行う前に債務整理に精通した弁護士に相談しましょう。状況によっては自己破産以外の債務整理方法が適している場合もあり、弁護士に相談することにより、最適な債務整理の方法を提案してもらうことができます。

東京スタートアップ法律事務所では、借金をリセットして自分らしい生活を送るための基盤を作れるよう全力でサポートさせていただきたいと考えております。秘密厳守はもちろん、分割払い等にも対応しておりますので、お気軽にご相談いただければと思います。

弁護士宮地 政和 第二東京弁護士会
弁護士登録後、都内の法律事務所に所属し、主にマレーシアやインドネシアにおける日系企業をサポート。その後、大手信販会社や金融機関に所属し、信販・クレジットカード・リース等の業務に関する法務や国内外の子会社を含む組織全体のコンプライアンス関連の業務、発電事業のプロジェクトファイナンスに関する業務を経験している。