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投稿日: 更新日: 代表弁護士 中川 浩秀

自己破産で養育費は免除されるのか?支払い義務の有無や偏頗弁済について解説

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最高裁判所が発表している司法統計によると2018年の自己破産件数は7万3099件です。(参考:裁判所司法統計)

自己破産件数はこの数年で緩やかに増加中です。

自己破産をした方の中には、離婚をして、養育費を支払っている方もいらっしゃいます。

では、自己破産をした場合、養育費の支払いは免除されるのでしょうか。

本記事では、自己破産を検討している方やすでに自己破産を申し立てた方に向けて、自己破産をした場合の養育費の取扱いや、「偏頗弁済(へんぱべんさい)」について解説します。

自己破産をしても養育費の支払いは免除されない

自己破産をしても養育費を支払う義務が免除されることはありません。

その理由や、免除されなかった場合にどうなるのかを確認しましょう。

自己破産をしても養育費の支払い義務は免除されない

自己破産とは、借金や滞納した家賃などの負債が増えすぎて返済する目処が立たなくなった人が裁判所に申し立てて、債務の返済を免除してもらうという手続です。

ただし、すべての負債の返済が免除されるわけではなく、「非免責債権」と呼ばれるものは、自己破産が認められても支払う必要があります。

養育費は、非免責債権の中に含まれますので、自己破産が認められても養育費の支払いは続けなければなりません。

養育費の支払いは、子どもと離れて暮らす親の義務です。

養育費を払えるかどうかは別問題

養育費は、非免責債権であるため自己破産をしても支払い続ける義務がありますが、支払い能力がない場合は、現実問題支払うことはできません。

養育費の未払いが続くと、相手方が養育費請求調停を申し立てる可能性があります。

すでに、執行認諾文言付き公正証書や調停調書、判決文などの、「債務名義」がある場合は、強制執行を申し立てられて、給与等が差し押さえられるおそれもあります。

養育費を支払えない場合は減額請求を

養育費の支払いが難しい場合は、放置せずに相手方に連絡の上、「待ってもらう」、「一時的な減額を求める」などの申し入れを行いましょう。

相手方が申し入れを受け入れたら、後々のトラブルを防止するために合意書や公正証書を作成しておきます。

受け入れてもらえなければ、「養育費減額調停」の申立を検討します。

その場合は、減額するのが妥当であると調停委員が判断するための根拠が必要です。

「給与が大幅に減額された」、「リストラをされた」、「自分が再婚をして子どもが生まれた」、などの理由であれば養育費の減額が認められる可能性があります。

養育費の支払いが「偏頗弁済(へんぱべんさい)」になる?

自己破産を申し立てた場合、養育費を支払うと「偏頗弁済」になる可能性もあります。

偏頗弁済とは?自己破産の仕組みをわかりやすく解説

自己破産を申し立てて、破産手続開始が決定すると、自己破産手続前の「債権」は、すべて破産手続の対象になります。

債権とは返済していない借金や滞納している家賃、未払の商品代金などを請求する権利のことです。

自己破産では、破産者の一定額以上の預貯金や財産を処分して、「債権者」に分配します。

債権者とは、債権を請求する権利を持つ人のことをいいます。

簡単にいえば、お金を貸したりしていて支払いを受けるべき人のことです。

自己破産手続が開始されたら、すべての債権者は平等に債務者(お金を支払うべき人)の財産を分配される権利を持ちます

「お世話になった人には多くわけてあげる」ということは許されません。

実際には、優先的破産債権といって、担保が設定されている債権や労働債権(未払の給与等) 、税金等が優先されるというルールがあるものの、自己破産を申立てた人の意思で、優先するかどうかを決めることはできません。

これらの債務者の財産を換価(お金に換えること)して、債権者に分配するのは、「破産管財人」です。

破産管財人は、自己破産手続の決定と同時に選任されます。

自己破産手続決定後に、勝手に一部の債権者に対して返済や支払いを行うことを、「偏頗弁済」といいます。

裁判所は偏頗弁済を原則として認めていません。

ここまで説明したことをまとめておきます。

  • 「債権」とは、貸したお金や販売した商品代金、税金などを請求する権利のこと。
  • 債権を請求する権利を持つ人を債権者という。
  • 破産手続開始が決定したら一定金額以上の預貯金、財産は、破産管財人によって債権者に平等に分配される。
  • 勝手に一部の債権者に対して返済することを、「偏頗弁済」という。

実は、養育費は自己破産手続における、債権に含まれます。

破産手続開始が決定する前に滞納していた養育費は、債権となり、債権者である子どもを育てている親は、平等に財産を受ける権利を持っています。

先ほど、養育費は、「非免責債権」であるとお伝えしましたが、これはあくまでも、自己破産をしても支払い義務が免除されないというだけであって、滞納している養育費は「債権」なのです。

したがって、破産手続開始が決定後に、破産手続開始前の滞納している養育費を支払ってしまうと、「偏頗弁済」とみなされてしまうリスクがあります。

偏頗弁済をするとどうなるの?

偏頗弁済には以下のリスクが生じます。

自己破産手続に悪影響を及ぼしますので、滞納している養育費をまとめて支払わないようにしてください。

免責不許可となってしまうリスク

自己破産では、裁判所が免責を許可することで借金等の支払い義務が免除されます。

しかし、偏頗弁済をしていたことが裁判所に発覚すると、免責不許可と判断されてしまう可能性があるのです。

管財事件になってしまうリスク

管財事件とは、破産管財人が選任される自己破産のことをいいます。

通常は、債務者が一定の財産を持っていた場合に、管財事件となりますが、偏頗弁済が見つかった場合は、財産がなくても管財事件とされてしまうのです。

管財事件になった場合は、手続に時間がかかりますし、管財人に予納金を支払わなければなりません。

自己破産をする場合の養育費支払いの注意点

最後に、自己破産をする場合の養育費支払いの注意点を解説します。

養育費を支払うために口座残高が20万円以上の場合は管財事件になる可能性がある

養育費の支払いのために、口座残高が20万円以上ある場合、管財事件になってしまう可能性があります。

管財事件になると、破産手続が長期間に及んでしまいますので、口座残高が20万円以上にならないようにします。

預貯金以外に財産がある場合は、それらと合算されますのでご注意ください。

管財事件になり破産管財人が選任されるケースについてはこちらの記事にまとめていますので、参考にしていただければと思います。

養育費を滞納している場合は元配偶者に事情を説明する

養育費をしばらく支払っていない場合、未払の養育費は「債権」となりますので、破産手続開始決定がなされた場合は、「偏頗弁済」とみなされる可能性があるとお話ししました。

しかし、養育費を待っている配偶者は、そのような事情はわかりません。

元配偶者が、養育費が支払われないからと、強制執行を申し立てたり、弁護士に相談したりと余計話がややこしくなってしまうリスクがあります。

自己破産を申し立てていて、滞納した養育費をすぐに払うことができないのであれば、その旨を元配偶者に説明しておきましょう。

破産手続開始後の養育費は支払っても問題がない

破産手続が開始された後に、支払期日が到来する養育費を支払っても「偏頗弁済」には該当しません。

たとえば、破産手続開始決定日が7月1日であれば、7月末日が支払期日の養育費は通常通り支払うことができます。

自己破産で養育費の支払いでお悩みの方はご相談ください

自己破産をしても養育費の支払い義務が免除されることはありません。

かといって、支払いが遅れていた養育費を、破産手続開始後に一括で支払ってしまうと、「偏頗弁済」とみなされて、破産手続に悪影響を与えてしまいます。

自己破産を申し立てているが、養育費も支払えずに困っているという方、相手方から養育費を督促されて困っている方は弁護士にご相談ください

リストラや再婚、減給などの事情の変化があれば、養育費の減額が認められる可能性があります。

その際は、離婚問題だけでなく債務整理を取り扱っている事務所を選択すると、よりスムーズに解決可能です。

代表弁護士中川 浩秀 東京弁護士会
2010年司法試験合格。2011年弁護士登録。弁護士法人東京スタートアップ法律事務所の代表弁護士。同事務所の理念である「Update Japan」を実現するため、日々ベンチャー・スタートアップ法務に取り組んでいる。