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投稿日: 弁護士 沼口 格

不倫相手の子供を妊娠!出産する場合・中絶する場合の法律上の注意点を解説

不倫相手の子供を妊娠したことが発覚した際、中絶するか出産するか悩まれる方もいらっしゃるのではないでしょうか。中絶か出産かという大きな決断を迫られることになりますが、中絶可能な期間は限られているため、時間的な猶予はあまり長くはありません。

今回は、不倫相手の子供を妊娠した場合にやるべきこと、不倫相手の子供を出産する場合の法律上の留意点、不倫相手の子供を中絶する場合の注意点、妊娠をきっかけに夫と離婚する場合の注意点などについて解説します。

不倫相手の子供を妊娠した際にやるべきこと

不倫相手の子供を妊娠した疑いがある場合、落ち着いて必要な行動をとることが大切です。具体的にどのような行動をするべきか説明します。

1.妊娠の有無を確認する

妊娠の有無を確認できるのは一般的には妊娠5週目以降といわれています。この時期を過ぎても、まだ産婦人科を受診していない場合、産婦人科で妊娠の有無を確認しましょう。市販の妊娠検査薬も正しく使用すれば精度は高いといわれていますが、産婦人科を受診した方が確実です。中絶を視野に入れている場合、中絶可能な期間には限りがあるため注意が必要です。母体保護法第2条2項に定められた「胎児が、母体外において、生命を保続することができない時期」は、妊娠21週6日までとされています。その期間を超えると、中絶という選択肢を選ぶことはできなくなるので、なるべく早く妊娠の有無を確認することが大切です。
また、父親が誰か不明な場合は、出生前親子鑑定により妊娠した子供の父親を調べるとよいでしょう。出生前親子鑑定は、母体血を用いてDNA親子鑑定を行う方法で、妊娠8~10週目以降に検査を行うことが可能です。

2.不倫相手と話し合う

不倫相手の子供を妊娠していることが明らかになった場合、不倫相手の男性に妊娠の事実を伝えて、話し合いましょう。子供を産みたいと考えている場合、男性が妻と離婚して自分と結婚する意思があるのか確認することが大切です。ただし、男性が妻と離婚するという約束をしてくれた場合でも、実際は離婚しないケースも少なくないため注意が必要です。出産することを選択する場合、実家の支援なども含めて、子供の養育環境が整っているかよく検討することが大切です。

不倫相手の子供を出産する場合の法律上の留意点

男性の意思に関わらず、一人で子供を産んで育てたいと考えている場合、男性に子供を認知してもらえるか、養育費を支払ってもらえるかという点を確認しましょう。「不倫相手の男性に迷惑をかけたくないから、認知も養育費も必要ない」と思われている方もいらっしゃるかもしれませんが、生まれてくる子供の将来のためにも、認知と養育費に関する法律の規定について理解しておくことは大切です。
認知と養育費に関する法律の規定や、不倫相手の妻から慰謝料を請求される可能性など、不倫相手の子供を出産する場合の留意点について説明します。

1.認知に関して知っておくべき法律の規定

①認知とは

認知とは、男性が生まれた子供を自分の子であると認める身分行為です。相手の男性と結婚することなく、子供を出産した場合、その子供は非嫡出子となります。非嫡出子は、法律用語で、婚姻関係にない男女の間に生まれた子供を意味します。男性が子供を認知することにより、認知した男性と認知された子供の間に法律上の親子関係が成立します。
親子関係が成立することにより、不倫相手の男性は、父親として子供に対する扶養義務を負います。また、子供は父親の相続権も有することになります。以前は嫡出子(婚姻関係にある男女の間に生まれた子供)と非嫡出子で相続分に格差がありましたが、民法の改正により格差が是正され、同じ相続分となりました(民法第900条)。

②任意認知と強制認知

認知には、任意認知と強制認知という2つの種類があります。

  • 任意認知:父親である男性の意思で、認知の手続を行うこと(民法第779条)
  • 強制認知:子の父親が任意に認知しない場合に、認知調停や認知訴訟で法律上の父子関係を発生させる手続きのこと(民法第787条)

つまり、男性が認知を拒否しても、女性が強制認知の訴えを提起して、生物学的親子関係が認められた場合は強制的に認知させることが可能です。

2.養育費に関して知っておくべき法律の規定

認知により、不倫相手の男性に扶養義務が発生し、養育費の支払いが義務付けられます。養育費の額に関する法律の規定はなく、お互いの収入や子供の人数などに応じて決定することができます。養育費の目安としては、裁判所が公開している養育費算定表が参考になります。

不倫相手の男性に養育を負担してもらうことなく、自分の収入で育てていこうと考えていても、将来、何らかの事情で働けなくなる可能性が全くないとは限りません。子供の将来のためにも、不倫相手の男性に子供を認知してもらい、無理のない範囲で養育費を支払ってもらうことが望ましいでしょう。
母子家庭の貧困が社会問題化する中、2020年4月の民事執行法改正により、養育費を支払わない男性の財産を差押えできるよう、債務者の財産に関する情報を第三者から取得する手続が新設されました。この手続により、裁判所を通じて市町村や年金機構等に養育費を支払わない男性の勤務先の情報提供を求めて給与を差押えすることも可能になりました。

3.不倫相手の妻から慰謝料を請求される可能性

不倫相手の男性に子供を認知してもらうと、男性の戸籍には認知した子供の名前が記載されます。戸籍の記載がきっかけで、不倫相手の妻に不倫の事実を知られ、慰謝料を請求される可能性があるため注意が必要です。
不倫相手の妻からの慰謝料請求は、不法行為に基づく損害賠償請求について規定している民法第709条と第710条を根拠とする請求であるとされています。婚姻関係にある夫婦はお互いに配偶者以外の者と性的な関係を持たない貞操義務を負い、貞操義務に反することを不貞行為といいます。不貞行為は不倫相手である男性の妻に対する貞操義務違反行為に加担するものであり不法行為に該当するため、慰謝料の請求が認められているのです。

不倫相手の子供を中絶する場合の注意点

不倫相手の子供を産みたいと希望していたのに、相手の男性から説得された、あるいは子供の将来を考えて出産を断念したなどの理由により、仕方なく中絶を選択するという方もいらっしゃるかと思います。その場合、精神的なダメージを受けたことを理由として、相手に慰謝料を請求することはできるのでしょうか。慰謝料、中絶費用の請求の可否について説明します。

1.不倫相手に対する慰謝料請求の可否

子供を中絶することにより精神的なダメージを受けたとして、不倫相手に対して慰謝料の請求をすることはできるでしょうか。お互いに合意の上で性行為を行い、妊娠し、合意の上で中絶した場合には、不貞相手に対して慰謝料請求をすることはできないでしょう。ただし、自分は出産することを希望していたにもかかわらず、不貞相手から執拗に中絶を強要され、やむなく中絶をしたような場合には慰謝料請求ができる可能性がないとはいえないでしょう。

2.中絶手術の費用は請求可能

中絶手術にかかる費用については、一般的に、相手の男性が約半分を負担する必要があると考えられています。そのため、男性に対して、実際にかかった費用の約半分を請求することができます。
妊娠12週未満の妊娠初期は体への負担が比較的少ない手術で済みますが、それ以降になると、通常の出産と同様に分娩する形で中絶を行うため、体への負担が大きく、費用も高くなります。それぞれの期間の中絶費用の相場は以下のとおりです。

  • 妊娠初期(12週未満)の場合:10万円~15万円程度
  • 妊娠中期(妊娠12週〜22週未満)の場合:20万円~40万円程度

妊娠中期の手術は体への負担が大きいため、通常、数日間の入院が必要になり、入院費用もかかります。また、死産届の提出や埋葬許可証を得て、埋葬をする必要も生じます。妊娠12週経過後の中絶手術は、体への負担だけではなく、経済的な負担も大きくなるので、中絶を検討している場合はできる限り早く結論を出すことが大切です。

妊娠をきっかけに夫と離婚する場合の注意点

既婚者同士がダブル不倫をしていて、不倫相手の子供を妊娠したことをきっかけに、配偶者である夫と離婚する場合、不貞行為を理由に夫から慰謝料を請求される可能性が高いため注意が必要です。
一般的に不貞行為による慰謝料の相場は50万円~300万円といわれています。しかし、妊娠という事実がある場合、慰謝料の額は大きくなる傾向にあり、高額な慰謝料を請求される可能性もあります。高額な慰謝料を請求された場合、不倫問題に精通した弁護士に相談すると、法律の専門知識や交渉術を駆使して減額の交渉をしてもらうことが可能です。弁護士に依頼する費用はかかりますが、慰謝料の減額が実現すれば、負担総額を大幅に抑えることも可能です。
不倫で慰謝料請求された場合の弁護士費用の相場や費用が用意できない場合の対処法などはこちらの記事にまとめていますので、参考にしていただければと思います。

まとめ

今回は、不倫相手の子供を妊娠した場合にやるべきこと、不倫相手の子供を出産する場合の法律上の留意点、不倫相手の子供を中絶する場合の注意点、妊娠をきっかけに夫と離婚する場合の注意点などについて解説しました。

不倫相手の子供を妊娠したことをきっかけに、相手の妻に不倫の事実を知られ、慰謝料を請求されるケースは少なくありません。高額な慰謝料を請求される等の問題が起きた場合は、早めに弁護士に相談することをおすすめします。

私達、東京スタートアップ法律事務所は、不倫問題でお悩みの方が不当な負担を強いられないよう全力でサポートしております。秘密厳守はもちろんのこと、弁護士費用の分割払い等にも対応しておりますので、お気軽にご相談いただければと思います。

弁護士沼口 格 第二東京弁護士会
大学卒業後、特別養護老人ホームにて非常勤・一般職員として勤務した後、司法試験を志し法科大学院に入学し司法試験合格後弁護士となりました。 弁護士登録以降は債務整理、離婚、相続、成年後見、交通事故、残業代請求、建物明渡、賃料増減額請求、債権回収、刑事事件等個人のお客様から法人のお客様まで幅広い案件を取り扱ってまいりました。