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投稿日: 更新日: 代表弁護士 中川 浩秀

離婚して父親が親権取得する割合は?獲得するためのポイントを解説

「離婚後に父親が親権を獲得することは難しいと聞いたが、どうすれば親権を獲得できるのだろうか」
「父親が親権を獲得するためには、どんなことが必要なのだろうか」
このような疑問をお持ちの方もいらっしゃるのではないでしょうか。
離婚に際しての親権獲得に関する問題は、周囲の人に適切な助言を求めることが難しいため、一人で悩みを抱えてしまう方も少なくありません。

今回は、親権とその決め方、父親が親権を獲得できる割合と獲得するためにやるべきこと、面会交流調停などについて解説します。

親権とは

親権には2種類の権利が含まれます。一つは財産管理権、もう一つが身上監護権です。それぞれの権利について説明します。

1.財産管理権

財産管理権とは、包括的な子の財産の管理権と、子どもの法律行為に対する同意権のことをいいます。財産管理権については、民法第824条において、以下のように定められています。
“親権を行なう者は、子の財産を管理し、かつ、その財産に関する法律行為についてその子を代表する”
管理の対象となる子の財産とは、原則的に子のすべての財産です。ただし、民法第5条3項では、以下のように定められています。
“法定代理人が目的を定めて処分を許した財産は、その目的の範囲内において、未成年が自由に処分することができる。目的を定めないで処分を許した財産を処分するときも、同様とする。”
つまり、参考書代、旅行代など使途を定めて渡した財産や、お小遣いやお年玉など子どもが自由に使うことを許可した財産については、子どもが自由に消費してよいとされています。

2.身上監護権

身上監護権とは、子どもの衣食住の世話をして保護し、精神面と肉体面の両面において健全に子どもを育てる権利と義務のことです。身上監護権には、以下の4つの権利が含まれます。

①身分行為の代理権

嫡出避妊の訴え(民法第775条)、認知の訴え(同法第787条)、縁組の代諾や取り消し(同法第797条、804条)などの身分行為については親権者に同意・代理権があります。

②居所指定権

親権者として、子どもの居所を指定することができる権利です。(同法第821条)

③懲戒権

親権者として、監護や教育に必要な範囲で、子どものしつけをする権利です。(同法第822条)

④職業許可権

親権者として、未成年の子どもが仕事に就くことを許可をする権利です。(同法第823条)

親権の決め方

離婚する場合、父母が共同で親権を行使することはできなくなるため、どちらかを親権者として決める必要があります。協議離婚をする場合は、親権者をどちらにするかは、双方による協議により決定します(民法第819条1項)。協議で決めることができなかった場合、裁判所に調停や審判を申し立て、裁判手続によって決めることになります(同法同条2項)。
協議離婚、調停離婚、裁判離婚での親権の決め方について説明します。

1.協議離婚の場合

協議離婚の場合は、夫婦による話し合いによって、親権者を決めます。離婚に際して、親権者は必ず決める必要があります。離婚届には親権者を父母のどちらにするのか記入する欄があり、この欄が記入されていなければ、離婚届は受理されません。話し合いによる決定が困難な場合は、裁判所へ調停を申し立てることになります。

2.調停離婚の場合

調停離婚の場合は、裁判所で調停委員の仲介の元に、どちらを親権者とするのか話し合います。裁判所での話し合いも決裂し、不調に終わった場合は、裁判所に審判申し立てを行うことになります。

3.裁判離婚の場合

裁判離婚においては、裁判所が親権者を父母のどちらとするかを判断します。裁判所が最も重視する要因は、どちらを親権者とすれば、子どもにとってより幸福かということです。併せて、子どもの年齢と意思も考慮され、子どもが15歳以上の場合は、子どもの意思が特に重視されます。子どもが15歳未満の場合は、母親に親権が認められることが多いでしょう。

4.親権者と監護権者が別になる場合も

親権者と監護権者が別になる場合もあります。前述した通り、監護権とは親権の一部に含まれるため、基本的に親権者が行使するものです。しかし、親権者が子どもを監護できない状態になったり、親権者でない側の方が監護権者として適していたりする場合は、親権者と監護権者が別になることがあります。例えば、以下のような場合です。

  • 親権者が長期の出張や転勤などにより、子どもの世話ができない場合
  • 父親が親権者となったものの、子どもが幼いため、母親が面倒をみた方がよい場合

上記のような場合は、例外的に親権者と監護権者を別に定めることが認められます。

5.親権者の変更もできるがハードルは高い

一度決めた親権者を変更することは可能ですが、実際は難しいことが多いでしょう。親権者を変更するためには、裁判所に親権者や監護権者変更の調停や審判を申し立てる必要があります。民法第819条6項には、以下のように定められています。
“子の利益のため必要があると認めるときは、家庭裁判所は、子の親族の請求によって、親権者を他の一方に変更することができる。”
つまり、裁判所が子どもの利益のために必要であると認めるほどの特段の事情がなければ親権の変更はできません。一度決定された親権者の変更を実現することは、非常に難しいといえるでしょう。

父親が親権者となる割合

裁判離婚において、父親が親権者となる割合は一割程度と非常に少ないです。2019年度の司法統計によると、成立した離婚調停及び審判事件18,580件中、父親に親権を付与したものは1,727件と一割に届いていません。

父親が親権を獲得するために

1.裁判所による親権者の決め方

裁判所が最も重視するのは、どちらを親権者にすれば子どもがより幸せかという点です。その判断をするために、親の適性や子どもが置かれる環境について調査の上、総合的に判断します。裁判所が評価するポイントとしては、主に以下のような点が挙げられます。

①子どもへの愛情

子どもに対する愛情が充分にあるかどうかは、重要な判断基準の一つです。愛情の大きさは目には見えません。そこで、裁判所の判断はあくまで客観的基準に基づいてなされます。特に、子どもと過ごした時間が長いほど、愛情が大きいと判断されやすいでしょう。

②経済力

子どもを育てていくのに十分な経済力があるかどうかという点も重要な判断基準です。

③これまでと現在の子の監護状況

過去から現在に至るまで、どのように子どもと関わってきたかという点も重視されます。子どもの教育への関わり方や、子どもに対する接し方などの客観的な事実を元に、子どもの監護を適切にできるか否かの判断をするのです。夫婦が既に別居している場合は、子どもの置かれる環境をできるだけ変化させないことが望ましいと考えられるため、子どもが同居している親が有利になることが多いでしょう。

④離婚後の監護状況の見通し

離婚が成立した後、子どもの監護状況が適切かどうかも大切です。子育てに充分な時間を確保できるか、また、自身の都合により子どもの面倒を見られないとき、協力してもらえる親族が存在するかどうかも、判断材料とされます。

⑤親の年齢や心身の健康状態

子育てをするのに十分な体力が備わっているか、また、心身ともに健康で子どもと問題なく関われるかという点も重視されます。

⑥環境の変化による子への影響

裁判所は、両親の離婚による子どもへの影響を最小限に抑えることを重視します。現在の環境が子どもにとって安定した望ましい環境である場合、できる限り環境を変えないような判断をするでしょう。ただし、環境が変化した方が子どもにとって望ましい場合は、異なる判断を下す可能性もあります。

2.裁判所の調査官の印象が大切

親権者をどちらの親にするかを決める際の判断材料は、家庭裁判所の調査官が収集します。家庭裁判所の調査官は、心理学、社会学、教育学などの専門知識を備えた裁判所職員で、行動科学的な視点から家事事件などの調査を行い、裁判官に処遇意見を提出することが主な職務です。親権者の判断においては、家庭裁判所の調査官が作成する調査報告書は大きな影響力を持ちます。調査官が主に調査するのは、子どもの監護状況、子どもの意向、親権者の適格性についてです。具体的な調査方法としては、子どもとの面談、家庭訪問、学校への訪問、親との面談などがあります。

3.親権獲得のために父親がやるべきこと

父親が親権を獲得するためには、子どもにとってより良い環境を提供できることを示すことが大切です。父親が親権を得にくい理由として、父親がフルタイムで働いていることが多く、子どもとの時間を作ることが難しいと判断されることが挙げられます。そのため、子どもとの時間を十分に確保できることを訴えることが大切です。仕事の都合上、現状は難しいという場合は、定時で退社しやすい部署への移動や転職などが有効なこともあるでしょう。さらに、祖父母や親戚など周囲のサポートを受けられるのであれば、その点もしっかり主張しましょう。子どもの監護態勢が整っているという点は非常に重要で評価されるポイントです。
また、子どもの手続代理人制度を利用するのも、有効なことがあります。子どもの手続代理人制度とは、弁護士が、子どもに状況を理解できるよう説明し、調停や審判において、子どもが意見や気持ちを伝えることができるようサポートする制度です。子どもにとって最善の利益となることを目的としています。子子どもが父親と暮らしたいと考えている場合、この制度の活用が有利に働く可能性があります。

親権が獲得できなければ面会交流調停を申し立てる

裁判の結果、親権を獲得することができない場合、今後も定期的に子どもと会えるよう面会交流の実施を求めます。

1.面会交流調停とは

面会交流調停とは、別居や離婚によって子と会えなくなった親が、定期的に子と交流できるように、裁判所で調整、取り決めをすることです。面会交流調停においては、主に下記のことを決めていきます。

  • 面会交流の頻度
  • 1回あたりの面会交流時間
  • 面会交流の方法
  • 面会場所
  • 面会交流における子の受け渡し方法
  • 面会交流に関する連絡方法

子との面会交流については、離婚調停や訴訟の際に取り決めることもできます。

2.面会交流調停の流れ

面会交流調停は、家庭裁判所に、申立書・事情説明書・連絡メモ・子の戸籍謄本など必要書類を提出して申し立てます。申し立てには印紙代や切手代など数千円の費用が必要です。申し立てから1~2か月後に第1回の調停期日が設定され、数回の調停期日を経て、面会交流についての具体的な取り決めがなされます。
調停においては、調停委員が夫婦別に聞き取りを行い、話を進めていきます。お互いの合意を得られたら調停成立となりますが、合意を得られずに不成立となった場合は、審判手続へと移行します。
面会交流調停で取り決めた内容が守られなかった場合は、裁判所に履行勧告を出してもらい、取り決めを守るよう促してもらうことが可能です。ただし、強制力はありませんので、必ずしも面会交流が実現するとは限りません。

親権獲得を弁護士に依頼するメリットと費用

親権獲得を望む場合は弁護士に相談することをおすすめします。

1.弁護士に依頼するメリット

弁護士に依頼するメリットには以下の3点が挙げられます。

  • 親権者になれるよう有利に話を進められる
  • 早期解決が可能になる
  • 法律手続などを全てやってもらえる

弁護士に依頼する最大のメリットは、親権を取得できる可能性が高まることです。また、早い段階で依頼することにより、協議段階で話がまとまり、裁判手続に至ることなく、早期解決できる可能性があります。また、複雑な法律手続などを一任できることも、弁護士に依頼するメリットの一つです。

2.弁護士費用の相場

弁護士費用は各法律事務所によって異なりますが、費用の相場は、50万円前後から100万円程度でしょう。内訳としては、依頼した際に支払う着手金が30~50万円程度、事件終了後に支払う報酬金が30~50万円程度です。他に実費や日当がかかることもあります。

3.親権獲得に強い弁護士の選び方

弁護士に依頼する際は、親権獲得に強い弁護士を選ぶことをおすすめします。特に離婚問題を得意とする弁護士なら親権獲得についての経験が豊富であることが多いです。離婚や親権獲得に強い弁護士に依頼することで、適切な訴訟活動を行ってもらうことができ、親権獲得の可能性もより高まります。

まとめ

今回は、親権とその決め方、父親が親権を獲得できる割合と獲得するためにやるべきこと、親権を獲得できなかった場合の面会交流調停などについて解説しました。

裁判離婚において、父親が親権を獲得している割合は一割程度と非常に少なく、一般的には難しいとされています。しかし、親権者としての適性や監護態勢の充実について、論理的で説得力のある主張をすることにより、親権を獲得できる可能性は高まります。

私達、東京スタートアップ法律事務所は、子どもの将来のために親権を獲得したいという方を全力でサポートしております。秘密厳守はもちろんのこと、分割払い等にも対応しておりますので、お気軽にご相談いただければと思います。

代表弁護士中川 浩秀 東京弁護士会
2010年司法試験合格。2011年弁護士登録。弁護士法人東京スタートアップ法律事務所の代表弁護士。同事務所の理念である「Update Japan」を実現するため、日々ベンチャー・スタートアップ法務に取り組んでいる。