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投稿日: 弁護士 徳山 紗里

不倫で慰謝料請求された場合の弁護士費用の相場・相談時の注意点も解説

「不倫相手の配偶者から慰謝料を請求されたけど、払う必要はあるのだろうか。」「不倫相手の配偶者から請求された慰謝料について、弁護士に相談したいけれど、費用はどれくらいかかるのだろう」などとお悩みの方もいらっしゃるのではないでしょうか。ご自身の不倫により慰謝料を請求された場合、他人に相談しづらい上、弁護士に相談したくても費用の心配から躊躇してしまうという方も多くいらっしゃいます。

今回は、不倫で慰謝料請求された際にかかる弁護士費用の内訳と相場、弁護士に依頼するメリット、依頼すべき慰謝料請求事例、弁護士への相談を検討する際の注意点などについて解説します。

弁護士費用の内訳

不倫で慰謝料請求された際にかかる弁護士費用について説明する前に、一般的な弁護士費用の内訳について説明します。弁護士費用の中には、いくつかの項目があり、それぞれ計算方法や支払うタイミングが異なります。代表的な項目は以下の通りです。

1.相談料

相談料は、弁護士に委任せず、法律相談のみをした場合の費用で、相談後に支払います。

2.着手金

着手金は、弁護士に事件を依頼した際に支払う費用です。依頼した結果に関わらず支払う必要があり、希望通りの結果を得られなかったとしても返金されることはありません。金額は各法律事務所の報酬規程に従って計算されます。

3.報酬金

報酬金は、事件が終了したときに支払う、いわゆる成功報酬です。成功した場合、または一部成功した場合に請求されます。依頼者が得た経済的利益を元に、各法律事務所の報酬規程に従って計算されます。

4.申立て費用

申立て費用は、裁判所に訴訟や調停を申立てる際に必要な費用のことです。裁判手続をする際、事務手数料として収入印紙と郵便切手を納める必要があります。金額は訴額に応じて既定の計算方法で算出します。訴えを起こす側が支払うものなので、訴えられた側は支払う必要はありません。

5.実費、日当

通信費や交通費など、実際に相手方との交渉や訴訟にかかる費用もあります。裁判所に出廷した費用を日当として請求する法律事務所もあります。事件終了後に報酬と一緒に請求されることが多いです。

着手金・報酬金の相場と安く抑えるポイント
不倫相手の配偶者から慰謝料請求された場合の弁護士費用の相場と費用を安く抑えるポイントについて説明します。

1.着手金と報酬金の相場

不倫相手の配偶者から慰謝料を請求された場合の弁護士費用の相場は以下のとおりです。

①相手方との交渉で解決した場合

  • 着手金:15~20万円程度
  • 報酬金:減額成功した分の20~25%程度、または15~20%+5万程度

②訴訟になった場合

  • 着手金:20~30万円程度
  • 報酬金:減額成功した分の20~25%程度、または15~20%+5万程度

相手方との交渉が決裂して訴訟に発展した場合は、交渉時に支払った着手金とは別に、訴訟事件の着手金も必要となることが多いです。

2.早めの相談で経済的負担の軽減が可能

弁護士費用を安く抑えるためには、できる限り早い段階で相談することが大切です。最も望ましいのは、相手方との交渉段階で解決することです。交渉がまとまらず、訴訟に発展した場合は、その分経済的負担が増えます。早期に解決し、余計な経済的負担を負わないためにも、早めに弁護士に相談するとよいでしょう。交渉のプロである弁護士に委任すれば、その時々に応じた最善の策を講じてもらえるため、早期の解決が実現する可能性が高まります。

弁護士費用を用意できない場合の対処法

弁護士に依頼したいけれど費用を用意するのが難しいという場合は、公的機関の利用を検討するとよいでしょう。日本司法支援センター(通称:法テラス)という公的機関では、経済的に余裕がなく弁護士費用を払えない方でもリーガルサービスを受けられるよう民事法律扶助業務を行っています。民事法律扶助業務とは、無料で法律相談を受けられ、弁護士費用を立て替えてもらえる制度です。ただし、民事法律扶助制度を利用するためには、一定の条件を満たす必要があります。詳しい条件については法テラスの公式サイトでご確認ください。

弁護士に依頼するメリット

不倫の慰謝料を請求された場合に弁護士に依頼することにより得られるメリットは、経済面・精神面共に大きいといわれています。具体的なメリットについて説明します。

1.適正な金額まで慰謝料を減額してもらえる

不倫による慰謝料金額には法的規定がありません。そのため、相手から請求される慰謝料が法外に高い金額であることも珍しくありません。弁護士が交渉にあたる場合は、過去の裁判例を参考に適正な慰謝料の金額を算出します。法外に高い慰謝料を請求された場合は、法律に基づき、相手方の請求の不当性を主張し、適正な金額まで減額するよう交渉してもらうことも可能です。

2.精神的な負担が大幅に軽減される

弁護士に委任すれば、以降の交渉や連絡は全て弁護士が対応してくれます。その結果、相手方と直接関わらなくて済みます。相手方から怒りや悲しみの感情を直接ぶつけられることによるストレスは、時に常軌を逸することがあり、中には相手方から受けたストレスにより体調を崩される方もいらっしゃいます。こちらに非があったとしても、そこまでのストレスに耐える必要はありません。精神的な負担を避けるためにも、相手方との交渉や連絡は全て弁護士に任せることが望ましいでしょう。

3.将来のトラブルを未然に防止できる

不倫問題では、解決したと思っていた問題が再燃し、トラブルに発展することも少なくありません。弁護士に依頼すれば、示談書や公正証書を適宜作成し、将来起こり得るトラブルの防止策も講じながら解決してくれます。万一、事件終了後に相手方が「私は納得していません」などと言い出しても、弁護士に指示を仰ぎ、適切に対処することも可能です。

弁護士に相談すべき不倫慰謝料請求事例

相手方から慰謝料を請求されたからといって、それが当然支払うべき慰謝料であるとは限りません。また、請求額が適正な金額であるとも限りません。法律上、支払う必要がない場合や、法外に高い金額を請求される場合もあります。不当な請求をされている場合には、法律上の根拠に基づく正当な主張により、相手方と交渉することが大切です。
法律の専門家である弁護士による主張により、支払いを回避または減額できる可能性の高い典型的な事例について説明します。

1.支払わずに済む可能性がある場合

次のような場合は、慰謝料の支払いを回避できる可能性が高いです。

①肉体関係がなかった

慰謝料は不貞行為という不法行為に対して請求されるものです。肉体関係がなかったということは、基本的には不法行為は成立しません。ただし、親密な連絡を取る・デートをする・キスをする等の行為が不法行為を構成するとの裁判例も少なからずあるため、事案によっては慰謝料を支払うべき場合もあります。

②自分は独身で相手が既婚だと知らなかった

不貞による精神的損害としての慰謝料請求は民法第709条に基づいて行われます
“(不法行為による損害賠償請求)故意又は過失によって他人の権利又は法律上保護される利益を侵害した者は、これによって生じた損害を賠償する責任を負う”
ここでいう「故意又は過失」とは、相手が既婚者であることを知っていたのに関係を持った場合、又は、相手が既婚者であることを知り得たにも関わらず、関係を持った場合のことです。不倫相手が独身だと偽った場合や、婚活パーティーや婚活サイトなど独身であることが前提の場で知り合い、相手が既婚者だと察することが難しかった場合などは「故意又は過失」に相当しないため、慰謝料を支払う必要はありません。また、こちらも騙された被害者であり、貞操権を侵害されたことになるため、騙した相手に対して慰謝料を請求できる可能性もあります。

③自分は独身で相手から婚姻関係の破綻を告げられていた

相手が既婚者だと知っていた場合でも、配偶者と長期に渡り別居中である、離婚協議中である等、相手方に保護すべき婚姻関係の実態がない場合、不法行為が成立しません。また、実際には婚姻関係が続いているにも関わらず相手が「妻との関係は破綻している」などと嘘をついて交際が始まった場合でも、相手が偽ったことを立証できれば、婚姻関係の認識について故意過失はないとして、不法行為が成立しない可能性が高いです。

④時効が成立している

不法行為による慰謝料の時効については、民法第724条一項で「被害者又はその法定代理人が損害及び加害者を知った時から三年間行使していないとき」と定められています。つまり、慰謝料を請求した相手方が不倫の事実を知ってから三年経過していれば、時効が成立しているので、慰謝料を支払う必要はないのです。

2.減額できる可能性が高い場合

次のような場合は、相手方が請求してきた金額よりも減額できる可能性が高いです。

①請求額が相場と比較して高額な場合

前述したとおり、不倫による慰謝料について明確に定めた規定はありません。裁判所や弁護士が参考にする過去の裁判例によると、その相場は50~500万円程度です。ほとんどの場合、相手方は感情的になり、相場よりも高い金額を請求します。弁護士を代理人にして請求してきた場合でも、ほとんどの場合、こちらが減額交渉することを見越して、高めに請求しています。

②不倫期間が短く回数が少ない

不倫期間が短く、回数も少ない場合、悪質性が低いと主張することにより、減額できる可能性が高いです。ただし、悪質性が低いことを具体的に主張する必要があります。

③支払い能力がない

所有資産が少なく、到底払えないと思われる金額を請求されている場合、こちらに支払い能力がないことを主張して減額を交渉します。客観的に支払い能力がないことを証明し、交渉しますが、当事者同士では難航することも多いです。法律の専門家である弁護士に依頼して交渉してもらう方が、減額を実現できる可能性は高いでしょう。

④相手夫婦の離婚に不倫が関係しない

相手方が不倫によって婚姻関係が破綻したという理由で慰謝料を請求してきても、実際にはどの程度の因果関係があったのかは不明です。因果関係が認められない部分については慰謝料を支払う必要はなく、因果関係が立証された部分についての慰謝料のみを支払うべきです。ただし、この場合も、当事者同士の交渉は難航するケースが多いため、弁護士に依頼して、交渉してもらうことをおすすめします。

⑤深く反省している

不倫の事実を認め、深く反省している場合、誠意が伝われば相手方が減額に応じてくれる可能性も十分にあります。そのためには、こちらが自分の犯した過ちに真摯に向き合い、反省していることをしっかり示した上で、相手に対して誠意を込めて謝罪することが大切です。

3.相手から脅迫されている場合

相手から「慰謝料を支払わないと職場にばらす」「危害を加える」などと脅迫され、法外な慰謝料を請求されている場合、相手の要求に従う必要はありません。相手の行為は脅迫罪に該当するため、刑事責任に問うこともできます。不安や恐怖に駆られて、相手の言いなりになってはいけません。心配な場合は弁護士に相談するとよいでしょう。弁護士が状況に応じて適切な対応をしてくれるはずです。

弁護士への相談を検討する際の注意点

実際に弁護士へ相談する場合、弁護士とは事件に関する情報を可能な限り多く正確に共有することが大切です。情報を共有することにより、弁護士は状況に応じた適切な対応を取ることができます。

1.証拠を用意すること

弁護士に相談するときは、慰謝料の支払い回避、減額を主張する根拠となる資料をできる限りたくさん用意することが大切です。メールやLINEでの会話記録、写真や手紙などは交渉を有利に進めるために有用な証拠です。処分することなく、全て残しておき、必要に応じて弁護士に提出できるよう準備しておきましょう。

2.正直に話すこと

都合の悪いことでも弁護士には包み隠さず全て話しましょう。委任後、弁護士は代理人として相手との交渉にあたります。隠し事や虚偽の証言をすると、的確に対応できず、交渉が難航する要因となります。最善の結果を得るためにも、弁護士を信頼し、全て正直に話しましょう。

まとめ

今回は、不倫で慰謝料請求された際にかかる弁護士費用の内訳と相場、弁護士に依頼するメリット、弁護士に依頼すべき慰謝料請求事例、弁護士への相談を検討する際の注意点などについて解説しました。

弁護士に依頼する費用は安くはありませんが、不倫問題で慰謝料を請求された場合、相手が感情的になり、相場より高額な慰謝料を請求する場合も多いため、弁護士に依頼した方が結果的に経済的負担を大幅に抑えられるケースも少なくありません。

私達、東京スタートアップ法律事務所は、不倫問題で慰謝料を請求されてお困りの方々を全力でサポートしております。慰謝料減額に成功した実績を豊富に持つ弁護士が、法律の専門知識と交渉術を駆使して相手との交渉にあたります。秘密厳守はもちろんのこと、分割払い等にも対応しておりますので、お気軽にご相談いただければと思います。

弁護士徳山 紗里 東京弁護士会
京都女子大学法学部卒、東京スタートアップ法律事務所入所。日本で唯一の女子大法学部を卒業し、卒業生で初の弁護士となる。