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投稿日: 更新日: 代表弁護士 中川 浩秀

詐欺罪で執行猶予を獲得するには?初犯で起訴される確率は?詐欺罪の懲役について

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執行猶予とは、裁判で確定した刑の執行の全部または一部を一定期間猶予するという制度です。

執行猶予を言い渡されると、執行猶予期間中に別の犯罪について、有罪判決で禁錮以上の罪を言い渡されるなどの事情がなければ、刑が執行されることはありません。

詐欺罪で起訴された方にとって、執行猶予がつくかどうかは非常に重要です。

そこで、本記事では詐欺罪の執行猶予判決が言い渡される割合や獲得方法について解説します

詐欺罪の刑罰とは?

まずは、詐欺罪の刑罰を把握しておきましょう。

詐欺罪の刑罰

詐欺罪の刑罰は以下の様に規定されています。

人を欺いて財物を交付させた者は、十年以下の懲役に処する。(刑法第246条)

詐欺罪には、罰金刑はなく、「十年以下の懲役刑」のみとなります。すなわち、有罪となり執行猶予がつかなければ、服役しなければなりません。

詐欺は初犯でも執行猶予がつく?

一般的には、初犯は執行猶予付き判決となることが多いです。特に、無銭飲食や釣り銭詐欺等の単純な詐欺や、すでに被害者との示談が成立しているような詐欺の場合は、初犯であれば執行猶予がつきやすいといえます

しかし、特殊詐欺等の組織的な詐欺に加担していた場合は、初犯であっても実刑判決となる事例が少なくありません。

詐欺罪で執行猶予がつく可能性は?

では、詐欺罪で執行猶予がつく可能性について検証してみましょう。「平成30年版犯罪白書」を参考に、執行猶予がつく割合についてもご紹介します。

執行猶予付き判決が言い渡された件数

実際に、詐欺罪でどの程度執行猶予付き判決が言い渡されているかを調べてみました。「平成30年版犯罪白書」から、地方裁判所における詐欺罪の科刑状況を抜粋しています。

以下の通り、詐欺罪の懲役で最も多いのが2年以上3年以下、次いで1年以上2年未満です。また、懲役2年以上3年以下の場合の執行猶予の割合は、66.7%となっています

懲役 実刑の件数 執行猶予の件数 執行猶予の割合
懲役6か月未満 4
懲役6か月以上1年未満 75 29 38.60%
懲役1年以上2年未満 405 812 49.80%
懲役2年以上3年以下 90 1,361 66.70%
懲役3年を超え5年以下 461
懲役5年を超え7年以下 78
懲役7年を超え10年以下 18
懲役10年を超え15年以下 4
総数 4,156 2,202 52.90%

▲平成30年版犯罪白書による、「地方裁判所における詐欺罪の科刑状況

執行猶予がつく可能性のある条件

刑法では、執行猶予をつけることができる条件が定められています。

前提として、「三年以下の懲役若しくは禁錮又は五十万円以下の罰金の言渡しを受けたとき」(刑法第25条)という要件があります。

先ほどの詐欺罪の科刑状況の表でも、3年を超える懲役刑の場合は、執行猶予判決は言い渡されておりません

法律上は、次のいずれかの条件を満たす場合に刑の全部の執行猶予付き判決が望めます。

  • 前に禁錮刑以上の刑に処せられたことがない
  • 禁錮以上の刑に処せられたが、その執行終了の日から5年以内に再び禁錮以上の刑に処せられたことがない
  • 禁錮以上の刑に処せられて刑が免除を得た日から5年以内に禁錮以上の刑に処せられたことがない
  • 前に全部執行猶予付きの禁錮以上の判決を言い渡されており、今回の懲役が1年以下で情状酌量すべきものがあるとき(ただし、前回の執行猶予期間中保護観察に付せられ、その期間内に更に罪を犯した者を除く。)

詐欺事件で執行猶予がつく見込みのあるケースとは?

詐欺事件で執行猶予がつく見込みがあるのは以下のような事例です。

  • 被害者との示談が成立している
  • 詐欺組織の末端の構成員でよく事情を知らなかった
  • 詐欺未遂で被害が生じていない
  • 詐欺の被害が少額であった

前提として重要なのは、被害者への被害金額の弁済が完了して、示談が成立していることです

その上で、詐欺の態様が悪質でない場合や、被害金額が少ない場合、犯行に及んだ経緯に情状酌量の余地がある場合等に、執行猶予判決が見込めます。

詐欺事件で執行猶予つきの判決が出た判例まとめ

執行猶予付き判決が言い渡された事例について解説します。どのような事例で執行猶予判決が言い渡されているかを知りたい方は、ぜひ読み進めてください。

虚偽の高金利預金を知人に勧めて325万円をだまし取り懲役3年、執行猶予4年

被告人女性は、「県が運営している高金利の子育て支援のための預貯金」や、「がん患者限定の高金利の預金」という、虚偽の事業があると知人をだまして、合計で325万円をだまし取りました。

判決は、懲役3年、執行猶予4年です。執行猶予付き判決が言い渡された理由は、被告人が罪を認め、謝罪の意思を各被害者に伝えること、すでに被害金額が弁償されていること、出廷した被告人の姉が被告人を監督するとしていること、前科がないことなどです。

被害金額は高額ではありましたが、被害者にだまし取ったお金を返済していることや前科がないこと、被害金額の弁償に協力した姉が監督を約束していること等が功を奏して、執行猶予付き判決となったと考えられます。(長野地判平成30年 3月19日)

ネットオークション詐欺で3600円をだまし取り懲役1年6か月、執行猶予3年

この事件の加害者は4名、この裁判での被告人は2名です。首謀となる別裁判の被告人Aの指示により、当裁判の被告人2名は、インターネットオークションサイトに、芸能人のサインであるとして、写真に自分でサインを行い、直筆サイン付き写真として販売しました。

落札者は、それを信じて3600円を振り込んでいます。被告人たちによるは、計画的に犯行を行っており、同種の詐欺を繰り返していたことがうかがわれました。

首謀者に誘われて当初は実態をよくわからずに関与していたとはいえ、偽のサインであったことは認識していたため、被告人両名にも責任が生じると判断されています。

他方で、被告人2名は首謀者に従う立場であったことや、母が出廷して監督等を約束していること、被害者に謝罪の意思を表していること、今後は首謀者であったAと関わらず、二度と罪を犯さないと反省の態度を示していることから、執行猶予相当と判断されました。(仙台地裁平成30年2月22日)

転売目的でコンサートチケットを購入して懲役2年6か月、執行猶予4年

被告人は、営利での転売目的での購入が禁じられているコンサートチケットを、転売する目的で購入して、詐欺罪に問われ、懲役2年6か月、執行猶予4年が言い渡されました。

被告人は二度にわたって合計16枚のチケットを転売目的で購入しています。営利目的の転売のために購入するにも関わらず、運営者に対して営利目的ではないとだましてチケットを交付させたことが詐欺罪に該当すると判断されました。

不正な転売を防止するために電子チケットを導入していたところ、購入者にチケットが表示されるスマートフォンを貸し出すという巧妙な手口を用いていました。

他方で、被告人は、罪を認めて反省していること、常習性があることも認めて供述していること、父親らの監督の下真面目に働くことと制約していること、前科前歴がないことを踏まえて、執行猶予判決となりました。(神戸地裁平成29年9月22日)

詐欺罪で実刑判決を免れるためにやるべきこと

詐欺罪で実刑判決を免れるための具体的な対処法を解説します。

被害者との示談を成立させる

詐欺事件で執行猶予判決をつけるかどうかの判断においては、被害者に被害金額を弁償すること、被害者に謝罪の意を表明することが重要です

それらを実現できるのが、被害者との示談を成立させることです。被害者に、だまし取ったお金や財産を返済した上で、謝罪し、示談を成立させると、執行猶予判決が言い渡される可能性が高くなります。

再度罪を犯さないための環境構築

刑事裁判においては、再び同様の罪を犯さないかどうかも重視されます。執行猶予付き判決が言い渡されている事例の多くが、家族等が監督することを約束しています。

再度詐欺を行わないように、見守ってくれる家族や友人等の存在が重要です。

弁護士に弁護を依頼する

弁護士に弁護を依頼することで、被害者との示談の成立や、再度罪を犯さないための環境構築を速やかに進めることができます。

また、弁護士は、裁判において犯行に至った事情や被害者との示談を成立させていることなどを主張し、刑罰の軽減を求める弁護活動も行います。

これらの弁護活動によって、執行猶予付き判決が望める可能性はさらに高まります

日本での、刑事裁判(地方裁判所、被告人段階)における弁護人選任率は、2019年の時点で99%を超えています。
弁護士白書,2019年,第2編弁護活動の状況 ②地方裁判所における弁護人選任率

執行猶予付き判決が言い渡されている事例でも、ほとんどは弁護人が選任されています。被害者の中には、被告人に連絡先を知られたくないという人も多く、そのような人でも弁護士に対しては連絡先を教えることができたり、交渉に応じてくれたりする場合があります。

また、家族に監督を約束してもらったり、家族に裁判に出廷してもらったり、情状酌量の余地があることを適切に主張・立証したりと、執行猶予獲得に向けて弁護士にできることは多くあります

執行猶予付き判決が言い渡される可能性を高めたい方は、ぜひ弁護士にご相談ください。

詐欺罪で執行猶予を獲得したい方は弁護士へ相談

弁護士に相談することにより、執行猶予付き判決が言い渡される可能性が高まります。

弁護士を選ぶ際は、詐欺事件の弁護実績だけでなく、人柄やコミュニケーション能力にも注目しましょう。

詐欺事件の弁護では、裁判官とのやりとりや、被害者との示談交渉など様々な人とコミュニケーションを取る必要があるからです。

詐欺罪に問われている方やそのご家族は、ご自身で対応せずにぜひ弁護士にご相談ください

代表弁護士中川 浩秀 東京弁護士会
2010年司法試験合格。2011年弁護士登録。弁護士法人東京スタートアップ法律事務所の代表弁護士。同事務所の理念である「Update Japan」を実現するため、日々ベンチャー・スタートアップ法務に取り組んでいる。