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投稿日: 更新日: 代表弁護士 中川 浩秀

準強制性交等罪(旧準強姦罪) の示談|メリットや示談金相場を解説

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準強姦罪(じゅんごうかんざい)は、刑法改正によって「準強制性交等罪」という名称に変更されました。

準強制性交等罪は、強制性交等罪を含めると年間に約1000件強発生している犯罪です。

準強制性交等罪等の性犯罪においては、「被害者との示談が重要」といわれていることをご存知の方は多いと思います。

では、被害者と示談することにどのようなメリットがあるのでしょうか。

今回は、準強制性交等罪の概要や示談のメリット、示談までの流れを解説します。

示談書のサンプルも掲載しておきますので、これから準強制性交等の被害者との示談を検討している方はぜひ読み進めてください。

準強姦罪とは?構成要件と法定刑

準強姦罪とは、現在の準強制性交等罪です。

平成29年刑法改正によって準強姦罪から準強制性交等罪へ名称が変更になり、対象となる行為の範囲も増えました。

まずは、準強制性交等罪の概要や法定刑について解説します。

準強制性交等罪とは?

準強制性交等罪については、刑法第178条2項で以下のように規定されています。

人の心神喪失若しくは抗拒不能に乗じ、又は心神を喪失させ、若しくは抗拒不能にさせて、性交等をした者は、前条の例による。

用語を1つずつ確認していきましょう。

心神喪失

心神喪失とは、精神障害や熟睡、麻酔、泥酔等の影響で正常な判断能力を失っている状態を指します。

知的障害があり4、5歳程度の知能である女性に対して性交を行ったという事例では、心神喪失に乗じた犯行であると判断されています。

抗拒不能

抗拒不能とは、心神喪失以外の理由で心理的、物理的に抵抗することが著しく困難な状態です。

相手がお酒に酔っている状況を利用して性的暴行をしたり、産婦人科医が「治療のために必要だから」と患者に嘘をついて性交等を行うことは、抗拒不能に乗じているといえます。

性交等

性交等には、性器への挿入を伴う通常の性交だけでなく、口腔性交や肛門性交も含まれます

旧強姦罪、旧準強姦では性器への挿入のみが同罪の対象と考えられており、口腔性交や肛門性交は強制わいせつ罪の対象とされていました。

しかし、平成29年刑法改正により、性器への挿入以外の性行為についても強制性交等や準強制性交等に問われることになりました。

被害者の性別

平成29年改正前刑法では、旧強姦罪や旧準強姦罪の被害者は女性に限定されていました。

しかし、改正により被害者の性別を制限する規定が撤廃されました。

そのため、被害者、加害者ともに男性であるケースや、被害者が男性で加害者が女性になるというケースもこれらの罪に問われることになります。

非親告罪化

刑法の改正により、準強制性交等罪は親告罪ではなくなりました

親告罪とは、被害者が被害を申し出なければ検察官が起訴できない犯罪のことです。

同罪が非親告罪になったことで、被害者が被害を届け出なくても捜査機関の捜査によって逮捕、起訴される可能性があるのです。

ただし、非親告罪になったとはいえ被害者の意向は、起訴、不起訴の判断に大きく影響します。

準強制性交等罪の法定刑

準強制性交等罪の法定刑は、強制性交等罪と同じで「五年以上の有期懲役」となります。

刑法第178条2項の「前条の例による」というのは、前条である強制性交等罪(同法177条)の法定刑と同じであるという意味です。

「有期懲役」とは、具体的には1か月以上20年以下の懲役のことを指しますので、準強制性交等罪の法定刑は5年以上20年以下の懲役ということになります。

罰金刑はなく、5年以上の有期懲役ですので何らかの理由で刑が減軽されなければ執行猶予もつきません。執行猶予は3年以下の懲役刑の場合につけることができるとされているからです。

ただし、以下に該当する場合は、減軽されることがあります。減軽されれば執行猶予付き判決が言い渡される可能性もあります。

法律上の減軽事由

行為者が行為当時心神喪失や心神耗弱状態にあったと判断される場合、刑が免除または必要的に減軽されます。

酌量減軽

酌量減軽とは、犯行に至った経緯や環境等から犯罪の情状に酌量すべきものがあると判断される場合に、裁判官の判断により刑を軽くすること<です。

未遂減軽

罪を犯そうとしたものの結果的にこれを遂げなかった、または自らの意思により思いとどまり結果が発生しなかった場合に、刑が軽くなることを未遂減軽といいます。

自首減軽

自首減軽とは、犯罪事実または犯人が捜査機関に発覚していない段階で犯罪事実を申し出る「自首」を行った際に、刑が軽くなることをいいます。

自首の効果としては、刑の任意的減軽なので、自首をしたとしても必ず減軽されるわけではありません

準強制性交等(旧 準強姦)罪で示談するべき理由・メリット

準強制性交等罪において、被害者と示談を成立させることは加害者にとって大きな利益となります。どのようなメリットがあるのかを確認しましょう。

逮捕や勾留などを回避できる可能性がある

準強制性交等罪においては、早期に被害者と示談を成立させることで逮捕や勾留を回避できる可能性があります

準強制性交等罪は性犯罪の中でも重い犯罪ですので、一般的には捜査機関によって逮捕や勾留等の身柄拘束の措置を講じられる可能性が高いです。

特に、被害者が顔見知りという場合は証拠隠滅や被害者の身の安全を考慮して逮捕、勾留される可能性が高まります。

しかし、早期に被害者との示談を成立させることで、証拠隠滅のおそれがないことや、被害者に危害を加えるリスクが低いとして逮捕や勾留といった措置をとられないこともあります。

起訴を回避できる可能性が高くなる

準強制性交等罪では、被害者と示談を成立させることで不起訴処分となる可能性があります。

平成29年改正前刑法のもとおいては、準強姦罪は親告罪であったため被害者が示談の成立により被害届や告訴状を取り下げれば検察官は起訴をすることができませんでした。

刑法の改正によって非親告罪となったものの、現在でも性犯罪の起訴不起訴を判断するにあたっては被害者の処罰意思が尊重される傾向が強いため、示談を成立させれば不起訴処分となる可能性は十分にあります。

ただし、検察官が起訴するかどうかを判断するまでに示談を成立させておかなければなりません。

逮捕後、勾留されている場合は最長で逮捕から23日で起訴、不起訴が判断されます。

それまでに、示談を成立させるべく被害者との交渉を急ぎましょう。

起訴されても刑が減軽される可能性がある

上記のとおり、準強制性交等罪の法定刑は5年以上の有期懲役ですので、減軽されなければ執行猶予はつかず刑務所に服役しなければなりません。

しかし、示談を成立させることで、酌量減軽が検討される可能性があります。

減軽によって刑期が3年以下の懲役となれば、執行猶予付き判決を望むこともできます

準強制性交等罪での刑罰を軽減するためにも、示談は有効なのです。

示談のタイミングとは?

準強制性交等罪で示談に着手するタイミングは、「なるべく早く」です。

すでに被害者が警察に被害届を提出したり相談したりしている場合は、逮捕されるおそれもありますので、速やかに示談を成立させる必要があります。

ただし、準強制性交等罪においては、「美人局」の可能性も疑わなければなりません。

ご自身が「相手を酔わせて性交渉をしよう」という明確な意思を持って犯行に及んだのではなく、双方が合意して行為に及んだのに後から被害を訴えられるケースも存在します。

「出会ったばかりの男女がお酒を飲んだ後性交渉を行ったら、後日『酔って抵抗できない状態で無理矢理性行された』と主張してきた」というケースです。

その場合は、示談金を目当てにした美人局という可能性もあり得ます。

また、「既婚者女性が、独身男性と関係を持っていたら配偶者にバレた」というケースでは、既婚者女性が自分自身に落ち度がないと主張するために、「酔って眠っていたら襲われた」などと虚偽の供述をする可能性もあります。

このように、準強制性交等罪では、いわれのない行為で被害を訴えられている可能性もありますので、疑わしい場合は示談交渉に着手する前に弁護士に相談をしてください

準強制性交等(旧準強姦)罪の示談の流れ

準強制性交等の示談は、以下の流れで進みます。

被害者と連絡を取る

被害者の連絡先を知っている場合は、被害者と直接連絡をとって示談をしたい旨を伝えます。

被害者の連絡先を知らない場合は、警察や検察官等の捜査機関に「示談を申し入れたいから被害者の連絡先を知りたい」と伝えます。

すると捜査機関が被害者にその旨を伝えて、被害者が了承すれば連絡先が開示されます。

しかし、多くの性犯罪被害者は加害者側に連絡先等を知られることを嫌がりますので、拒否される可能性が高いです。

連絡先の開示を拒否されれば示談交渉を行うことは不可能になります。

その場合は、ご自身で交渉するのではなく、弁護士に示談交渉を一任しましょう

加害者との直接の交渉を嫌がる被害者も、弁護士からの申し入れであれば了承する可能性があります。

示談交渉を行う

準強制性交等の被害者との示談交渉では、主に以下の項目を話し合います。

  • 示談金の額
  • 今後の禁止事項
  • 示談成立後の被害届、告訴状の取下げについて

準強制性交等罪での示談金は、慰謝料が主なものとなります。犯行によって被害者がうつ病などの精神疾患等を発症している場合は、それらの治療費等も考慮されることになります。

示談金の相場は100万円から500万円です。

犯行に至った経緯や犯行の悪質度、被害感情等によって事案ごとに異なります

示談書を作成して取り交わす

示談金の額や示談内容に双方が合意した場合は、その内容を示談書に記載して双方が署名捺印を行います。署名捺印が完了したら示談が成立します。

示談が成立したら、検察官や裁判官に示談書を提出します。

示談書には、以下の項目を記載しておきましょう。

  • 加害者、被害者の氏名、住所(被害者が自身の住所の記載を希望しない場合には省略することも可能です。)
  • 事件の日時、場所、時間、犯行内容
  • 謝罪文言
  • 示談金額、支払方法、支払期限
  • 清算条項
  • 宥恕条項(被害者が加害者を許すことを記載した項目)
  • 接触禁止
  • 口外禁止

【雛形】準強制性交等罪の示談書テンプレート

こちらに、ご自身で示談書を作成する際の目安にするための示談書のテンプレートを掲載しておきます。

示談書
東京花子(以下「甲」という)及び埼玉太郎(以下「乙」という)は、下記刑事事件(以下、「本件事件」という。)について、以下の通り示談した。
日時:令和2年1月10日
被害者:甲
加害者:乙
場所:東京都千代田区〇〇
事件の概要:(事件の内容を記載します。)
第1条(謝罪)
乙は、本件事件について深く反省し、心から謝罪する。
第2条(宥恕)
甲は、乙の謝罪を受け入れ、本件について宥恕する。また、甲は、本件に関する被害届や告訴は行わないものとし、これらをすでに提出済みの場合には取り下げるものとする。
第3条(示談金)
1.乙は、甲に対し、本件事件による示談金として、200万円の支払義務があることを認める。
2.乙は、甲に対し、前項の金員を、を平成30年1月31日限り、〇〇銀行〇〇支店の甲名義の普通預金口座(口座番号〇〇〇〇)に振り込んで支払う。なお、振込手数料は乙の負担とする。
第4条(関係断絶)
1.乙は、今後一切甲及び甲の勤務先、家族、関係者に連絡をせず、また甲の居宅、勤務先に接近しないものとする。
2.甲は、今後一切乙及び乙の勤務先、家族、関係者に連絡をしないものとする。
第5条(口外禁止)
甲及び乙は、知りえた相手方に関する情報を、第三者に開示、漏洩しない。
第6条(責任)
本書に定める債務を乙が誠実に履行している間は、甲は、刑事民事を問わず、乙の責任を求めないものとする。
第7条(清算条項)
甲及び乙は、本件に関し、本示談書に定めるもののほか、甲と乙との間に何らの債権債務関係が存在しないことを相互に確認する。
本示談契約の成立を証するため、本書を2通作成し、各自1通を所持する。
(甲署名)
住所
氏名㊞
(乙署名)
住所
氏名

旧準強姦罪の示談は弁護士におまかせ

旧準強姦罪(現準強制性交等罪)で被害者との示談を検討している方は、一度弁護士にご相談ください。

逮捕や勾留といった身柄拘束を回避するためには、迅速な示談交渉に向けた活動をすることが必須です。示談の成否は不起訴処分の獲得や量刑にも影響を与えます。

また、弁護士は検察官や裁判官に意見書や身元引受書等を提出して、身柄の拘束を回避したり、刑罰の軽減を求めるための弁護活動を行うことができます

示談交渉とあわせてこれらの弁護活動を行うことで、逮捕や勾留、起訴などを回避できる可能性が高まりますので、弁護士に対応を一任しましょう。

代表弁護士中川 浩秀 東京弁護士会
2010年司法試験合格。2011年弁護士登録。弁護士法人東京スタートアップ法律事務所の代表弁護士。同事務所の理念である「Update Japan」を実現するため、日々ベンチャー・スタートアップ法務に取り組んでいる。