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投稿日: 更新日: 代表弁護士 中川 浩秀

事情聴取とは?被疑者として取り調べされる際に気を付けるべきこと

刑事事件を起こした加害者の方が警察の事情聴取に呼び出されると、「一体何を聞かれるのだろう」、「怒られるのだろうか」など、先行きが不透明で非常に不安な思いをされます。

そこで今回は事情聴取で聞かれることや、事情聴取に呼ばれていることの意味、そして事情聴取を受ける際に気を付けるべきことや不利にならないための注意点を解説します。

これから事情聴取に行かなければならない方はぜひ読み進めてください。

事情聴取とは

事情聴取とは、警察や検察などの捜査機関が事件の参考人や被疑者に話を聞くことをいいます。

似た言葉で取調べや任意取調べという言葉があります。

取調べと事情聴取はほぼ同じです。

事件の加害者である被疑者だけでなく被害者に対する事情聴取も「取調べ」と呼びます。

「犯罪捜査規範」という捜査官が事件を捜査する際や手続をする際に守るべきこと等を規定した規範では、事情聴取ではなく「取調べ」と記載されています。

事情聴取の呼び出しを無視できる?

まだ逮捕されていない場合の事情聴取の呼び出しは、あくまでも任意です。

強制ではありませんので拒否も可能です。

しかしご自身が何らかの罪を犯していて事情聴取で呼び出されている場合は、呼び出しを拒否し続けると逮捕されるおそれがあります。

拒否できるものの、拒否したからといって疑いが晴れることはありませんし、捜査が終了することもありませんので、事前に対策を講じた上で事情聴取の呼び出しに応じるのが賢明です。

参考人として呼び出される場合と被疑者として呼び出される場合

先ほどから何度か出ている「被疑者」というのは、警察が事件の加害者であると疑いを持ち捜査の対象となっている人のことです。

それに対して「参考人」とは、被疑者以外の事件の関係者です。

目撃者などの関係者が参考人となります。

当初は参考人として取調べを受けていて途中から被疑者に切り替わることもあります。

テレビ等では被疑者ではなく「容疑者」と呼ばれることもありますが、これは「被害者」との聞き間違いを防ぐために使われている呼び方です。

正式には「被疑者」といいます。

ちなみに、起訴されたら「被告人」と呼ばれるようになります。

被疑者として事情聴取を受けるときに気を付けること

次に被疑者として事情聴取を受ける場合の注意点を解説します。

都合が合わないからといって断らず、自分の都合がつく日に出頭する

逮捕されていない方の事情聴取は任意ですので、被疑者が日時を指定することが可能です。

仕事などで都合がつかないと断るのではなく、都合がつく日に出頭するようにしましょう

先述したように、任意の事情聴取は拒否できるものの、拒否し続けると逮捕されるおそれがあります。

都合が悪いことは黙秘する

刑事訴訟法では、被疑者は自分の意思に反して供述をする必要はないとしていますので、話したくないことは話す必要はありません

ただし、話したくないことを捜査官に「告知」する必要があります。

また、自分に不利益を及ぼす供述は「黙秘」することができます。

これを黙秘権といいます。

供述調書への署名は拒否できる

事情聴取が終わると供述調書という書類を、捜査官が作成します。

被疑者の場合は被疑者供述調書、参考人の場合は参考人供述調書です。

どちらの供述調書も、事情聴取が終了したら捜査官が被疑者や参考人に閲覧させてくれるので内容の確認が可能です。

内容が間違っている場合は、修正を申し入れることができます。

きちんと内容を確認してご自身が話した内容と相違がなければ、署名を行います。

署名をしたくなければ、署名を拒否することもできます

供述調書は重要な証拠となりますので、慎重に判断しなければなりません。

誤った内容が記載されているのにも関わらず、署名をしてしまった場合は、後から変更することは難しいです。

事情聴取では嘘をついても罪にはならない

事情聴取で嘘をついてしまっても「偽証罪」に問われることはありません。

偽証罪とは

法律により宣誓した証人が虚偽の陳述をしたときは、三月以上十年以下の懲役に処する

と刑法169条で定められている犯罪です。

法律により宣誓した証人とは、刑事裁判や民事裁判の事件の当事者が証言をお願いした人のことです。

つまり、事情聴取で嘘をついてしまったとしても、偽証罪に問われることはありません

ただし、事件の被疑者ではなく参考人として呼び出されており、犯人をかばう目的で嘘をつくと犯人隠避罪に問われるおそれがあります。

事情聴取で自分が不利な状況に陥らないためにできること

次に事情聴取で自分が不利な状況に陥らないためにやるべきことを解説します。

事情聴取で話した内容は供述調書にまとめられてしまいますので、慎重な行動が求められます

不利な供述はしない

事情聴取では、不利な供述をしないように心がけましょう。

捜査官による取調べは、現在は可視化が進み、厳しい取調べが減っていると言われているものの、閉鎖空間で行われるため、ご自身に不利な供述をしてしまうことが少なくありません

中には犯していない罪を認めてしまう人もいるほどです。

先述したとおり、自分に不利になることは供述しないことが権利として認められていますので、話したくないことは話さないと心に誓っておきましょう。

何を話すべきなのか、話してはいけないことは何かなど、不安な点がある場合は事情聴取に行く前に弁護士に相談をするとよいでしょう。

録音しておく

被疑者や参考人が事情聴取の最中にそのやりとりを録音することは違法ではありません。

捜査官による厳しすぎる取調べや、途中退席を拒否する行為があった場合は、録音データがその証拠となり、捜査官を罪に問える可能性があります。

令和元年6月1日に刑事訴訟法の一部が改正されて、取調べの録音・録画制度が導入されたものの、録音・録画制度が導入される事案は限られています

死刑や無期懲役に該当する事件や殺人事件などです。

弁護士に事前に相談する

事情聴取で不利な状況にならないためにできることで、最大の効果を発揮するのが「弁護士への相談」です

一般の方は、「自分に不利になることは話す必要がない」と言われても何が不利になるのかがわかりません。

罪を犯したこと自体を黙るべきなのか、罪を犯したことを認めた方がいいのか、というのは状況によって判断が異なります。

早い段階で罪を認めて素直に事情聴取に応じていれば、逮捕を回避できることもあります。

自分がやったことや知っていることをすべて話せば、早期に事情聴取が終わり日常生活への影響が軽微で済むこともあります。

これらの判断は個別の事件によって異なりますので、あらかじめ弁護士に相談して「話すべきことと、話すべきではないこと」を確認しておきましょう。

まとめ

刑事事件を起こした方が警察から呼び出された場合、逮捕されていないのであれば呼び出しを拒否することができます。

しかし、拒否をし続けていると逮捕されてしまうおそれがあるため、事前に準備をしてから事情聴取に応じましょう。

事情聴取によって不利な状況に陥らないようにするためには、弁護士に相談することを強くお勧めします

事情聴取で話すべきことなどを事細かに助言してもらえますので、事情聴取で不用意な発言をするリスクを軽減することが可能です。

代表弁護士中川 浩秀 東京弁護士会
2010年司法試験合格。2011年弁護士登録。弁護士法人東京スタートアップ法律事務所の代表弁護士。同事務所の理念である「Update Japan」を実現するため、日々ベンチャー・スタートアップ法務に取り組んでいる。