刑事事件CATEGORY
刑事事件
投稿日: 弁護士 徳山 紗里

刑事事件の弁護士の選び方・7つのチェックポイントと注意点を解説

刑事事件における逮捕は突然です。
「一刻も早く身柄を解放されたい。」
「刑事手続や裁判手続を少しでも良い方向に進めたい。」
「逮捕されたことを会社や学校に知られたくない。」
このような場面で、弁護士は依頼人の未来を守る強い味方となります。

しかし、ほとんどの方は、日頃から親しみのない弁護士をどのような基準で選べばよいかわからないかと思います。刑事事件は素早い判断と対処が結果を左右するため、切迫した焦燥感に襲われてしまう方も多くいらっしゃることでしょう。

今回は、刑事事件における弁護士の役割、刑事事件の弁護士選任の流れ、資力や状況に応じた弁護士の選び方、刑事事件の弁護士を選ぶ際の7つのチェックポイントと注意点などについて解説します。

刑事事件における弁護士の役割

刑事事件の弁護士を選ぶ際のポイントを説明する前に、刑事事件において弁護士がどのような役割を果たすかについて説明します。

1.弁護士は逮捕された本人と家族をつなぐ伝達役

刑事事件の被疑者として逮捕された方のほとんどは、刑事手続に関する知識を持ち合わせておらず、心の準備ができないまま外の世界と切り離されてしまいます。
今どのような立ち位置に置かれていて今後の手続きはどうなるのか、慣れない取り調べでどのように立ち振る舞うべきなのかなど、警察官が理解できるまで丁寧に説明してくれることはあまり期待できません。そのため、接見に来た弁護士だけが頼りの綱となる可能性が高いでしょう。
ご家族が逮捕された場合、一刻も早く本人に会いたいと希望される方は多いですが、逮捕から勾留までの3日間、ご家族の面会はほぼ認められません。また、事件の内容によっては、勾留後も、面会はおろか手紙の交換さえも制限される接見禁止命令が発令される場合もあります。
しかし、弁護士による接見は、憲法で認められた権利として原則制限されません。そのため、被疑者からご家族へ、ご家族から被疑者へのメッセージを伝える伝達役として、弁護士の存在はとても大きいのです。

2.検察官と対抗できる法律の専門家

刑事事件では、被告人と検察官が向き合って争う訴訟が行われます。検察官とは、国家権力を持つ法律の専門家です。それに対し、被告人のほとんどは法律に関する専門知識を持っていません。また、身柄を拘束されて行動の自由を奪われている状態では、情報収集も困難で、なおさら弱い存在となってしまいます。
このような検察官と被告人の間のパワーバランスの均衡を取るために弁護士は存在します。弁護士は、被告人の代理人として証拠を集め、適正な刑事手続が行われるように活動するという重要な役割を担っているのです。

刑事事件の弁護士選任の流れと注意点

刑事事件では、どのような流れで弁護士を選任することになるのでしょうか。弁護士選任の流れと注意点について説明します。

1.逮捕直後に当番弁護士を呼ぶ

逮捕されてから勾留されるまでの時間は、72時間以内と厳しい時間制限が設けられているので、時間をかけて弁護士を選ぶ余裕はありません。逮捕時に弁護士を依頼できる場合以外は、取り急ぎ、逮捕直後に当番弁護士の派遣を依頼することをおすすめします。
当番弁護士制度は、留置施設で弁護士と面会ができる制度で、一回のみ無料で利用できます。逮捕されているご本人が、警察官や検察官に対して「弁護士を呼んでください」と伝えるだけで、休日や夜間でも当番弁護士を派遣してもらえます。ご家族の方が当番弁護士の派遣を依頼する場合は、各都道府県の弁護士会に電話する必要があります。各都道府県の弁護士会の電話番号を知りたい方は、日本弁護士連合会公式サイトが公開しているこちらのページでご確認下さい。

当番弁護士制度では、その日に待機している弁護士が派遣されるため、ご自身で弁護士を選ぶことはできませんが、早いタイミングで弁護士のアドバイスを受けることは非常に重要です。弁護士のアドバイスを受けることにより、取調べの中で事実と異なる供述をしてしまう等、後の裁判に悪影響を与える行為を回避できる可能性が高くなるからです。また、今後の見通しについて説明を受けることにより不安を鎮めることができますし、家族や会社に対して簡易的な連絡を依頼することも可能です。
当番弁護士との2回目以降の接見(選任)は原則として自費負担となります。当番弁護士を弁護人として選任することもできますが、他の弁護士と比較して検討するのもよいでしょう。また、資力等の条件に合致すれば、勾留時に当番弁護士を被疑者国選弁護人に切り替えることも可能です。

2.初回無料相談を利用して弁護士を比較

将来に大きな影響を与える重大な問題を任せる弁護士の選択は慎重に行いたいと思われる方も多いと思います。刑事事件の弁護は時間との戦いになるので、可能であれば一日に複数の法律事務所を訪問して弁護士を比較するとよいでしょう。
インターネットで検索すると、刑事事件を得意としている法律事務所が見つかるかと思いますが、ネット上の説明や評判などを参考に決めるのではなく、直接弁護士と会話をして自分の目で見極めることをおすすめします。多くの法律事務所では、初回無料相談の機会を設けているので、その機会を利用してもよいでしょう。ただし、相談時間は限られているので、限られた時間を有効に使うために、相談前に事実関係を整理する、証拠がある場合は証拠を揃えるなどの準備をした上で相談に臨むことが大切です。

資力や状況に応じた弁護士の選び方

1.勾留前の弁護活動が必要な場合は私選弁護士

国選弁護人を選任できるのは勾留後ですから、勾留前からの弁護活動を希望する場合は私選弁護人を選任しましょう。裁判所は、逮捕から72時間以内に勾留質問を行います。勾留質問とは、裁判官が取調調書をまとめた記録と照らし合わせながら逮捕された方との面談を行い、検察官が請求する勾留理由を元に勾留するべきか否かを判断する手続をいいます。
刑事訴訟法で定められている勾留理由は以下の3つです。

  • 定まった住居がないとき
  • 証拠を隠すおそれがあるとき
  • 逃亡するおそれがあるとき

上記のいずれにも該当しない場合は、裁判官は被疑者を釈放しなくてはいけません(刑事訴訟法第60条第1項)。
勾留前に選任された私選弁護人であれば、勾留質問までに家族や勤務先の協力を仰ぎ、勾留の理由に該当しないという証拠を集め、勾留を阻止する活動を行うことが可能です。また、勾留された場合でも、判断が不当であると裁判所に申立てをすることができます。

2.迅速で質の高い弁護活動を求めるなら私選弁護士

国選弁護人による弁護活動の質は、弁護士によって大きく異なります。現行の日本の司法制度では、被疑者や被告人に国選弁護人を選ぶ権利が与えられていません。そのため、刑事事件の経験を豊富に持つ弁護士に出会える可能性もありますが、刑事事件をほとんど扱ったことがない弁護士が選任されることもあります。
一方で、私選弁護人の場合、刑事事件の実績などをしっかり確認した上で選任できるため、より質の高い弁護活動をしてもらえる可能性が高くなります。

3.経済的に余裕がない場合は国選弁護人制度を活用

私選弁護士を選任したいけれど、経済的に余裕がないという方もいらっしゃるかと思います。経済的な事情により弁護人を選任できない場合、国選弁護制度を活用するという方法があります。国選弁護制度は、本人の請求があり、法律の規定を満たす場合に、国費で弁護士を選任してもらえるという制度です。
以前は被疑者国選対象が限定されていましたが、2018年6月以降は対象範囲が広がり、勾留された全ての事件が対象となりました。実際、多くの刑事裁判において国選弁護人が選任されているので、経済的な事情に応じて制度の利用を検討するとよいでしょう。ただし、国選弁護人は完全に無料とは限らず、訴訟費用として支払いを命じる判決が下される場合もあります。

刑事事件の弁護士を選ぶ際の7つのチェックポイント

刑事事件の弁護活動は、被疑者の将来に大きな影響を与える可能性がある重要な活動です。そのため、法律事務所の公式サイトの情報、ネット広告、ネット上に投稿されている評判など、インターネット上の情報のみで判断するのではなく、直接対面で会話をして、自分の目でしっかり確認することが大切です。具体的にどのような点を確認するべきか、チェックポイントについて説明します。

1.最も重要なのは信頼感

刑事事件の弁護士を選ぶ際に最も重要なポイントは、信頼関係を築くことができるかという点です。ご本人が弁護士を信頼できず、プライベートな情報を話しづらいと感じてしまえば、弁護活動に支障が生じるからです。
信頼できる弁護士を選ぶためには、法律事務所の無料相談などを利用して、実際に会話をし、以下のような点をチェックするとよいでしょう。

  • 自分の話を丁寧に聞いてくれるか
  • 心理的な不安などに対するきめ細かい配慮があるか
  • 専門用語を多用することなく、わかりやすい言葉で説明してくれるか

2.刑事事件は弁護士の熱意が結果を左右する

刑事事件は、弁護士の熱意が裁判の結果に大きく影響します。熱意がある弁護士は、依頼人との接見を何度も繰り返し、粘り強く戦略を練ることができます。また、所属弁護士会の研修に参加するなど、日頃から自己研鑽に励んでいれば、弁護技術も磨かれ、最新の情報を弁護活動に反映することができる可能性もあります。

3.法律事務所の所在地も必ず確認すること

法律事務所の所在地が逮捕された地域の近くであるか確認することも大切なポイントです。弁護士が接見を行うたびに、出張費や移動時間を含めた日当がかさむようでは、弁護士報酬が高額になるおそれがあるからです。弁護士報酬を安く抑えるためにも、留置施設から近い法律事務所を選ぶようにしましょう。

4.刑事事件の解決実績も重要

刑事事件の解決実績や不起訴率などを確認することも重要です。刑事事件は、離婚、相続、債務整理などの分野と比較して件数が少ないため、弁護士が実績を積むことが難しい分野です。そのため、刑事事件の実績をほとんど持たない弁護士も存在するので、注意が必要です。
可能であれば、元検察官という経歴を持つ弁護士を選ぶとよいでしょう。刑事事件において、依頼人に相反する立場にあたるのが検察官です。元検察官の弁護士であれば、当然ながら検察官の考え方を熟知しているため、有利な結果を得られる可能性が高くなります。

5.聴取能力と交渉能力も必要

優れた刑事弁護士は聞き上手です。事件の真相を知るのは本人ですが、捜査機関が本人から全ての情報を得られるとは限りません。弁護士が依頼人から重要な事実を聞き出し、それを証拠として言語化することができれば、それは検察官が握る有罪の証拠にも勝る証拠になる場合もあるのです。会話の中から依頼人にとって有利となる証拠を導き出す能力は、重要な鍵となります。
また、被害者のいる刑事事件では、被害者と示談が成立しているかどうかが重要なポイントとなります。示談を成立させるためには、交渉能力が求められるため、優れた交渉能力を持つ弁護士であるかという点も重要なポイントです。法律相談の段階で交渉能力の有無を見極めるのは難しいかもしれませんが、実際に会話をしながら、弁護士の人柄、洞察力、説得力などを総合的に観察し、被害者と円滑に話し合うことができそうかという視点でチェックするとよいでしょう。

6.スピード感も大切な要素

刑事弁護は時間との勝負です。手続よりも常に一足先を行く弁護活動こそ、望ましい結果を導くために不可欠の要素です。電話をしてもいつも不在で折り返しの連絡がない、メールの返信が遅いなど、迅速な対応ができない弁護士では、望ましい結果を得られない可能性があります。
法律相談を依頼したら時間や曜日を問わずに対応してくれるフットワークの軽い弁護士を選任することをおすすめします。

7.弁護士報酬が明確に提示されているか

身柄が拘束されると収入が途絶える可能性があり、サポートする家族にも限界があるので、弁護士報酬はできる限り抑えたいところです。弁護士報酬(相談料、着手金、成功報酬、諸経費)は自由に設定できるため、法律事務所によって大きく異なります。
事前に見積りを要求し、料金の内訳について十分説明を受けて理解した上で比較検討するとよいでしょう。

まとめ

今回は、刑事事件における弁護士の役割、刑事事件の弁護士選任の流れ、資力や状況に応じた弁護士の選び方、刑事事件の弁護士を選ぶ際のチェックポイントと注意点などについて解説しました。

刑事事件では、最善の結果が得られるよう迅速に動いてくれる弁護士を選ぶことが重要です。刑事処分を受けるか否か、受ける場合はどのような刑事処分を受けるかは、ご本人の将来に大きな影響を与える非常に重要な問題です。インターネット上の情報で判断するのではなく、実際に対面で会話をしてご自身の目で弁護士の信頼感や能力を見極めることが大切です。

私達、東京スタートアップ法律事務所は、刑事事件で逮捕されて不安を抱えているご本人やご家族の気持ちに寄り添い、ご本人の大切な未来を守るために全力でサポートさせていただきたいと考えております。検察官や捜査機関の考え方を熟知している元検事の弁護士を中心とした刑事事件に強いプロ集団が、ご相談者様の状況やご意向を丁寧にお伺いした上で的確な弁護戦略を立て、迅速に対応致します。秘密厳守はもちろんのこと、分割払い等にも柔軟に対応しておりますので、安心してご相談いただければと思います。

弁護士徳山 紗里 東京弁護士会
京都女子大学法学部卒、東京スタートアップ法律事務所入所。日本で唯一の女子大法学部を卒業し、卒業生で初の弁護士となる。