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投稿日: 更新日: 代表弁護士 中川 浩秀

保釈とは?保釈の流れ・手順、保釈金の意義と金額の決まり方をわかりやすく解説!

ニュースなどでよく目にする「保釈」というワードですが、実際その意味を正確に理解している人は少ないのではないのでしょうか。

このため、実際に、家族や親族が保釈できる場面に遭遇した場合、どのように保釈の手続きを踏めば良いのかわからない方は多いと思います。

今回の記事では、

  • 保釈の概念(釈放との違い)
  • 保釈金の概念
  • 保釈金の金額が決まる基準

を説明します。

「保釈」「釈放」の概念を正確に理解しておくことで、身柄拘束される時間を短くすることができるかもしれません。

また、金額に関しても納得できるでしょう。

保釈とは

保釈とは、起訴された後の被告人に対して、保釈金の納付と引き換えに勾留を停止し、身柄拘束を解くことを指します。

注意すべき点としては、保釈はあくまでも起訴された後の「被告人」に認められた制度であることです。

たとえ身柄を拘束されていたとしても、それが起訴される前の「被疑者」の場合、保釈は認められません。

被告人が保釈を希望する場合には、本人や弁護士、親族などが保釈請求を行います。

その後検察官の意見聴取などを経て、最終的には裁判所が保釈決定を行います。

釈放との違い

釈放とは

釈放とは、逮捕・勾留の失効により、被疑者または被告人が完全に身柄拘束を解かれることを指します。

一般的に釈放となれば無罪放免のイメージがありますが、実際の釈放は必ずしも無罪になったことを意味しません

起訴される場合でも被告人の逃亡の恐れがなく在宅事件として処理される場合は、被告人は釈放されます。

また、裁判で執行猶予付きの判決が下った後に被告人が解放されることも釈放です。

保釈と釈放は、一時的に身柄拘束を解かれるのか、完全に身柄拘束を解かれるのかという点で大きく異なります。

釈放は勾留の失効を示す一方、保釈はあくまでも勾留が停止されただけの状態であるからです。

このため、釈放された後再び身柄を拘束されることはあまりありませんが、保釈の場合は一定の事情が生じれば再び勾留される可能性があります。

保釈金とは

保釈してもらうには、保釈金が必要です。

保釈金とは、保釈と引き換えに被告人が預けなければならない保証金のことです。

納めた保釈金は、普通にしていれば通常は返還されますが、保釈期間中に問題行動を起こすと、国の所有になります。国の政策費の一部になるのです。

また、保釈金の返還は判決内容に関係しません。有罪判決になっても保釈金は返還されます。

しかし、以下のような場合には全部ないし一部が没収される可能性がありますので、その点は注意が必要です。

  • 被告人が召喚を受けたのにも関わらず、正当な理由がなく出頭しない
  • 被告人が逃亡した
  • 被告人が逃亡したかはわからないが、連絡がつかなくなった/故意的に連絡をシャットダウンした
  • 被告人が証拠を隠滅した
  • 被告人が被害者に接近し、脅しや証拠隠滅と判断できる行為をした
  • 被告人が裁判所の定めた保釈条件に違反した

保釈金の相場や金額の決まり方

保釈金制度は、保釈された被告人が逃亡したり、証拠隠滅をはかったりすることを防止する目的で設定されています。

このため、保釈金の金額は「被告人が失ったら困る金額」で設定されるのが一般的です。

基準になるもの

  • 事件の性質(罪の重さ)
  • 被告人の職業(年収)

金額は、「事件の性質」×「被告人の職業」で決まります。

事件の性質が悪質性の高いものであれば保釈の危険性が上がるため金額が高く、年収が高い職業であればあるほど負担を重くするために金額は高くなります。

立て替え支援もある

保釈金を捻出できない場合には、日本保釈支援協会などによる保釈金の立て替え支援を受けることが可能です。

どのような場合に保釈が認められるのか?

保釈は、被告人やその弁護士、親族が請求すれば必ず認められるというものではありません

たとえば、複数人の殺人など一般的に死刑に当たるような重罪を犯したとして起訴されている被告人は、保釈されることはありません。

保釈が認められるパターンには以下の3種類があり、それぞれ条件が異なります。

権利保釈(必要的保釈)

日本の司法では、有罪判決を受ける前の被告人は、「無罪の推定」を受けます。

このため、基本的には保釈請求があった場合にはそれを認めなければなりません。

これを権利保釈または必要的保釈と呼びます。

ただし、以下の6事由に該当する場合には、保釈を認めなくても良いとされています。

保釈が認められない場合

刑事訴訟法第89条
保釈の請求があったときには、下記の場合を除いては、これを許さなければならない。

  1. 被告人が死刑又は無期若しくは短期一年以上の懲役若しくは禁錮に当たる罪を犯したものであるとき。
  2. 被告人が前に死刑又は無期若しくは長期10年を超える懲役若しくは禁錮に当たる罪につき有罪の宣告を受けたことがあるとき。
  3. 被告人が常習として長期3年以上の懲役または禁錮に当たる罪を犯したものであるとき。
  4. 被告人が罪証を隠滅すると疑うに足りる相当な理由のあるとき。
  5. 被告人が、被害者その他事件の審判に必要な知識を有すると認められる者若しくはその親族の身体若しくは財産に害を加え又はこれらの者を畏怖させる行為をすると疑うに足りる相当な理由があるとき。
  6. 被告人の氏名又は住居が分からないとき。

まとめると、起訴されている罪や過去に犯した罪が大きい場合や、証拠の隠滅や逃亡の可能性が高いと判断された場合には、保釈が認められないということです。

裁量保釈

裁量保釈とは、権利保釈の除外事由に該当する場合に、裁判所の判断によって保釈が許可されることを指します。

裁判所は、保釈請求があった場合にはまず権利保釈の除外事由に該当するかどうか判断し、その上で裁量保釈を行うかどうか決定します。

刑事訴訟法第90条
裁判所は、保釈された場合に被告人が逃亡し又は罪証を隠滅するおそれの程度のほか、身体の拘束の継続により被告人が受ける健康上、経済上、社会生活上又は防御の準備上の不利益の程度その他の事情を考慮し、適当と認めるときは、職権で保釈を許すことができる。

職権保釈

被告人の身柄拘束が不当に長く続いている場合、裁判所は職権により保釈を認める必要があります。

これを職権保釈と呼びます

刑事訴訟法第91条
勾留による拘禁が不当に長くなったときは、裁判所は、第88条に規定する者の請求により、又は職権で、決定を以て勾留を取り消し、又は保釈を許さなければならない

保釈が認められるまでの流れ│保釈申請・請求から釈放までの手順とは

下記では、保釈申請から保釈が認められるまでの流れを紹介します。

1. 保釈請求書を提出

事件が起訴されて、起訴状が裁判所に受理されれば、保釈の請求を行うことができます。
保釈の請求を行うためには、保釈請求書を作成して、それを裁判所に提出しなければいけません。

保釈の請求が出来るのは、被告人本人や法定代理人、配偶者、直系の親族、弁護人です。

2. 検察官の意見を聞いたうえで保釈許可判断

保釈請求書を受理した裁判所は、検察官への意見聴取や弁護人との面談を行い、保釈を許可するかどうか判断します。

このとき、必ずしも保釈が許可されるわけではなく、権利保釈の除外事由に該当する場合は、保釈が認められない場合も多いです。

保釈を許可する場合は、保釈の条件や保釈金の金額を決定し、その旨を被告人に通知します。

3. 保釈金の納付

保釈が決定されたら、被告人は保釈金を振り込みます。

4. 保釈

保釈金を振り込み、その確認がとれたら被告人は保釈されます。早ければ、保釈金の振り込みから1,2時間後には外に出ることができます

まとめ

自身や家族が逮捕され、起訴されてしまった場合は、少しでも早く保釈をしてほしいと思うことでしょう。

長期にわたる勾留は被告人の精神を蝕むだけでなく、被告人の日常生活にも大きな支障が出ます。

ただ、被告人やその家族だけで保釈手続きを行い、保釈を勝ち取るのはいささか難しいケースが多いです。

一方で、弁護士に依頼すれば保釈の手続きを全て行ってくれるだけでなく、裁判官と面談を行って保釈の必要性を訴えてもらうこともできます。

また、逮捕された後に早めに弁護士に依頼することで、罪の内容によってはそもそも起訴を免れる可能性も上がります

逮捕後の立ち振る舞いについて悩んでいる方は、ぜひ一度弁護士に相談してみてはいかがでしょうか。

代表弁護士中川 浩秀 東京弁護士会
2010年司法試験合格。2011年弁護士登録。弁護士法人東京スタートアップ法律事務所の代表弁護士。同事務所の理念である「Update Japan」を実現するため、日々ベンチャー・スタートアップ法務に取り組んでいる。