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投稿日: 更新日: 代表弁護士 中川 浩秀

横領と着服の違いを解説!横領罪の成立と発覚後の流れについて

他人から預けられた金銭を着服した場合、業務上横領罪や単純横領罪(横領罪)が成立する可能性があります。

しかし、横領罪とはどのような罪で、横領の容疑をかけられてからどのような流れで刑罰が科されるのでしょうか。

また、そもそも「横領」と「着服」の違いは何なのでしょうか。

今回は、

  • 「横領」の意定義、「着服」との違い
  • 着服行為に横領罪が成立するための要件
  • 着服行為が発覚した後の基本的な流れや取るべき行動

を解説します。

着服と横領の違いとは?

「着服」や「横領」という言葉は、報道番組や新聞でよく目にします。

しかし、具体的に罪になる行為の内容は分らないという人が多いのではないでしょうか。

そこで、着服や横領はどのような行為を指すのか、どのような罪に問われるのかを解説します。

また、着服と横領との違いについても確認しておきましょう。

着服とは

着服とは、他人の財物を無断で自分の物にすることを指します。

例えば、以下のような行為が着服に当たります。

  • 会社から預かった金銭を使い込む
  • 会社の金銭を自分の口座に移す
  • 会社に売上額を少なく申告し、差額分を私用のために使う

これらの行為は、刑法上の「横領」行為に該当するので、業務上横領罪や横領罪が成立し得ます。

業務上横領罪は、業務上自己の占有する他人の物を着服した場合に、単純横領罪は自己の占有する他人の物を着服した場合に罪が成立し、業務上横領罪は10年以下の懲役、単純横領罪は5年以下の懲役を科せられます。

しかし、それぞれ公訴時効が存在し、業務上横領罪は7年単純横領罪は5年と設定されていることが特徴です。

業務上横領罪 単純横領罪
業務上自己の占有する他人の物を着服した場合 自己の占有する他人の物を着服した場合
10年以下の懲役 5年以下の懲役
公訴時効7年 公訴時効5年

民事の観点では横領行為そのものが不法行為とされ、損害賠償請求をされることもあります。

民法上の不法行為に基づく損害賠償請求権の消滅時効は、損害と加害者を認識してから3年であり、もしくは横領行為時から20年のどちらか早いほうが対象になります。

被害者は横領行為で不当利得した物を返してもらうことも可能ですが、不当利得返還請求権については着服行為を知ったときから5年もしくは着服行為のときから10年で権利消滅時効を迎えます。

横領とは?

横領と着服はほとんど同じ意味であり、いずれも人の財物を自分のものにする行為を指します。

違いを一つ挙げるとすれば、「横領」は刑法にも規定された法律用語ですが、「着服」という言葉は刑法上存在せず、法律用語ではないという点です。

着服=横領」であると考えて差支えありません。

横領と着服の違いまとめ

  • 横領と着服はほとんど同じ意味であり、いずれも人の財物を自分のものにする行為を指す。
  • 「横領」は刑法にある法律用語だが、「着服」という言葉は刑法上存在しない口語である点が異なる。

横領の定義と種類

近年、報道番組で耳にするケースが多い「横領」については「業務上横領罪」が多いと言えます。

典型的な例としては、「会社の従業員や役員が会社のお金を私的な用途に使い込んだ」というものです。

しかし、日常生活の中でも着服・横領行為を行えば、(単純)横領罪等に問われるため注意してください。

どのような行為が横領になるのか、3つの横領についての定義と特徴について解説します。

遺失物等横領罪について

漂流物や遺失物等、占有を離れた他人の物を横領する行為は、遺失物等横領罪です。

例えば、拾った財布を警察へ届けずに自分の物にした場合は遺失物等横領罪にあたります。

実は、遺失物等横領罪と窃盗罪は区別が微妙なケースがあり、横領ではなく窃盗と認定されることがあるので注意してください。

単純横領罪(横領罪)について

単純横領罪は、自分が預けられていたり管理していたり事故が占有する他人の物を横領する場合に成立します。

例えば、人から預かった物を許可なく転売した場合です。

他にも、レンタル店の CD や DVD を中古品として販売した場合も横領罪に該当します。

横領・着服が発覚した後の流れ

横領・着服が発覚した場合の、刑事処分が下るまでの基本的な流れや逮捕される可能性について解説します。

基本的な流れ

1、発覚

財物を着服された財物の所有者が着服されていたことに気付くことで発覚するケースが最も多いです。

2、被害者と話合い

実際に財物を横領されたわけですから被害額の弁償について話し合う必要があります。

また、会社の従業員や役員が会社のお金を横領した場合(業務上横領罪が成立し得る場面)では、その後の会社からの処分(退職や減給など)についても話し合います。

3、被害弁償について合意→被害弁償→退職の可能性も

横領行為はその会社の懲戒事由に該当するケースがほとんどですから、被害弁償のほか、会社を懲戒解雇となる場合や、自主退職を促されることによって会社を退職せざるを得ないかもしれません。

多くの場合では、まず損害賠償を求められます。横領したお金を、一旦その金額分返済するということです。

4、被害弁償についての合意ができなかった場合は被害届提出、告訴の可能性

合意ができなかった場合は被害届が提出されることもあるでしょう。

5、警察による捜査の後、検察官のもとへ事件送致(逮捕・勾留の可能性も)

逮捕・勾留の可能性もあります。

しかし、業務上横領では、会社・法人が被害者で、加害者が内部の人間です。

社内トラブルであるため、会社側はこのトラブルを公にするのを嫌う傾向にあります。

このため、刑事事件化せずに示談でおさめようとする会社も多いです。

示談は加害者側にとってはメリットが大きいものです。詳しくは下記の記事をご覧ください。

6、起訴・不起訴が決定

起訴・不起訴が決定します。

7、起訴された場合は刑事裁判を経ての判決による処分の決定

刑事裁判の判決で処分が決定します。

解雇されるかどうかは、会社によって異なります。

会社の懲戒事由に記載されている場合は、解雇を逃れることはできません。

送致までの時間と勾留期間

横領・着服が発覚した後は、まず被害者と被害弁償に関して話し合い、被害弁償に関して折合いがついた場合は刑事事件に発展しない可能性が高いです。

ただし、横領・着服した金額や内容によっては被害届を出される、もしくは刑事告訴をされるという可能性があります。

これらが端緒となって横領の捜査が開始され、場合によっては逮捕されます。

その後、検察官のもとへ事件が送致されるという流れになります。

逮捕された場合、48時間以内に検察官に事件送致されます。

その後、検察官から取り調べを受け、検察官が勾留を請求したうえで裁判官が勾留を認めると、さらに長期間身柄を拘束されてしまいます。

勾留期間は最長で20日です。

勾留期間の終了までに、検察官が起訴・不起訴を決め、起訴された場合は刑事裁判で有罪もしくは無罪が決定します。

逮捕された場合、長期の身体拘束を受ける可能性が高いので、早期に弁護士に相談して、弁護人に選任し、勾留阻止等身柄解放のための手続をとることが肝要です。

すべての横領事件が逮捕・起訴に至るわけではありません。

逮捕されない場合でも身柄を拘束されない「在宅事件」として捜査をされ、起訴・不起訴が決定されます。

起訴されると、在宅事件でも刑事裁判となるため、有罪もしくは無罪の判決が下されます。

横領・着服で困ったら弁護士に相談することがおすすめ

「横領」の内容は事件によって様々です。

他人の占有を離れていると思えるような物を拾って持ち帰るといった比較的悪質性の低い場合でも、遺失物横領罪に該当する可能性があるので注意しましょう。

横領・着服をしてしまった、もしくは被害届を出されたり告訴されたりした場合には、弁護士に相談するのがおすすめです。

例えば、会社のお金や物を着服した場合、弁護士という代理人がいなければ、1人で会社側と話合いを行わなければなりません。

一般の方が会社の役員や顧問弁護士と被害弁償の交渉をすることは非常に困難です。

また、立件されると被害弁償以外にも宥恕(この場合は刑事処罰を求めないこと)や被害届取下げのための示談交渉をしなければなりません。

そもそも立件されないようにする、立件されたとしても不起訴処分を獲得する、逮捕・勾留された場合には早期の身柄解放を目指す、起訴されたとしても減刑を目指すといった場合には、弁護士に依頼する必要があるでしょう。

また、刑事事件においては迅速性が重要です。

早期に弁護活動に着手することによって立件されることを防ぎ、加害者にとって最も有利な結果を目指すことができます。

横領に手を染めてしまった方は、自分で解決しようとせず、可能な限り早く弁護士へ相談・依頼をしましょう。

まとめ

今回は、着服・横領による横領罪の成立と発覚後の流れについて見てきました。

着服・横領に手を染めてしまった、その疑いをかけられているという方は、ぜひ参考にしてみてください。

業務上横領は、その性質上、比較的公にされにくい傾向にありますが、会社によっては即日届出を出している場合もあります。

その際は、一度逮捕されてしまう場合や長期間勾留されてしまう可能性もあるわけです。

そういった際は、一刻も早く弁護士に依頼し、自分に少しでも有利になる行動の判断を煽ぐことが重要です。

代表弁護士中川 浩秀 東京弁護士会
2010年司法試験合格。2011年弁護士登録。弁護士法人東京スタートアップ法律事務所の代表弁護士。同事務所の理念である「Update Japan」を実現するため、日々ベンチャー・スタートアップ法務に取り組んでいる。